餃子の王将事件 大学中退「田中幸雄容疑者」はヒットマンというよりテロリスト 臭う“反権力の思想”

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高学歴のヒットマン

 フジテレビ系列で福岡県の地方局・テレビ西日本(TNC)は10月31日、「『王将』社長射殺事件 元マル暴捜査員が語る田中容疑者 『なんで“工藤会”で重用されるのか』【福岡発】」の記事を配信した。

 田中容疑者を知る元捜査員をTNCが取材し、一問一答を掲載したものだ。その中に興味深いやり取りがある。こちらも引用しよう。

《「割とハキハキした男で印象はいい。ヤクザになった以上は、これはヤクザの通す道なんだというのを自分なりに持っているような感じ」》

《「『おまえ、なんで組織の中で重用されとるとか?』と言ったら、『私はパソコンとかコンピューターが得意なんですよ』と。『いろんなこと、組織的な書類も全部私が作ってる』と」》

 これら複数の報道を重ね合わせると、確かに田中容疑者は「暴力団組員として異色の存在だった」ことが分かる。担当記者が言う。

「大卒のヤクザも、サラリーマン経験のあるヤクザも、それだけなら全く珍しくはありません。田中容疑者は“インテリヤクザ”と言えるでしょうが、そんな人間がなぜヒットマンになったのかという疑問は、捜査側も持っているはずです」

大林組事件

 大学中退の“経済ヤクザ”が組事務所でパソコンを駆使しても、全く珍しくはない。

 田中容疑者もパソコンを使いこなしていた。だが、同時に拳銃を握るヒットマンとしての顔も持っていた。大学中退の元サラリーマンという経歴とのギャップは大きい。

「田中容疑者はヒットマンとしての“前科”があります。2008年1月、福岡市博多区の路上で大手ゼネコン・大林組の社員が乗った車に向かって拳銃を発砲し、バンパーを破壊するなどの事件を起こしたのです。こちらも捜査は難航したのか、10年後の18年6月になってようやく、銃刀法違反などの容疑で逮捕されました」(同・記者)

 田中容疑者は取り調べで雑談には応じても、肝心の点には黙秘を貫いた。一部の法曹関係者は公判維持に危機感を抱いていたという。

 福岡地裁は19年11月、「直接の動機は不明だが、自分たちの利益のために大手ゼネコンを威迫する意図があったとうかがえる」と懲役10年の判決を言い渡した。20年11月には福岡高裁が田中容疑者の控訴を棄却し、判決が確定している(註)。

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