妻がとつぜん失踪して9年… 「僕の不倫のせいなのか」と苦悩する44歳男性“波乱の家族史”

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去っていった優子さん。そして…

 咲紀子さんの失踪から5年後、優子さんから「アメリカに戻る」と告げられた。何も言わずにそばにいてくれた優子さんだが、やはりこのまま自分の人生を淳也さんに捧げるようなことはできないと思ったのだろう。彼は止めることができなかった。

「代わりに優子さんのお母さんが昼間、手伝ってくれることになりました。社員の奥さんが来てくれることもあって手は足りる。でも子どもたちの心情を思うとせつなかったですね」

 大人たちは誰も誰かを幸せにはできなかった。淳也さんは子どもたちの心だけを守ろうとしたが、それもできているのかどうかわからないと自分を責めた。

「そもそも咲紀子がいなくなったのは、僕と優子さんのことを知ったからかもしれないんですよね。僕、実はなかなかそこに思いが至らなかった。立て続けに身内が亡くなったら、そりゃ鬱状態にもなるよと考えていたんです。でも直接の原因は僕と優子さんのことかもしれない」

 いろいろなことが起こりすぎて、彼自身、すべてを整理して考えることができないまま年月だけが過ぎていったのだろう。

 そして失踪宣告が出せるようになった今から2年前、咲紀子さんから連絡があったと優子さんの母から聞かされた。

「僕は咲紀子が生きていると思えなかったから、本当なのかと何度も尋ねました。でも優子さんのお母さんが嘘をつく理由がない。その数日後、咲紀子から会社に電話がかかってきたんです。『ごめんね』と泣いていました。生きていてくれてよかった、と僕は言いました。それ以外、言いようがなかった」

 戻って来いと言うことが咲紀子さんにどう受け取られるかわからず、次の言葉に迷っているうちに電話は切れた。

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