不倫相手の“みそ汁事件”で全てがバレて… 夫は東出昌大と同じ心境で人生を終えたのか

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「東出」で思い出したのであらためて連絡すると

 勇蔵さんに会ってから数ヶ月後、東出昌大の報道を知って勇蔵さんのことを思い出し、あらためて佳穂里さんにお父さんの現在について尋ねてみた。なんと、少し前に急死したという。

「まあ、これも運命なのかなと思うしかありませんね。四十九日が過ぎたあと、家に白を基調にしたきれいな生花が届いたんです。届け人の名前はありませんでした。おそらく父の彼女だった人じゃないでしょうか。母は怒る気力もないようで、黙って花を飾っていました。どんなに愛憎が混在しても、誰もが最後は死んでいく。父は全力で彼女を愛したんでしょう。彼女もそうだった。それでよかったような気もします。母と父の関係を見て育った私からすると、父が他の女性に走ったことも理解できないわけではないし。それでも夫婦間のことはわかりませんけどね」

 佳穂里さんは、母がそうであるように、自分もまた複雑な思いを抱えながら生きていくことになりそうだとつぶやいた。

 ***

 家庭のことは妻に任せ、仕事一筋で働いてきた夫が、“魔が差した”としか思えないきっかけで不倫の恋に走る……。これ自体はよく聞く話ではある。

それがここまで問題が大きくなってしまったのは、まず第一に暁美さんの熱量の大きさを勇蔵さんが見誤ってしまった点にある。3年の交際中に、彼女のそういった部分を見抜けなかったのか。離婚して暁美さんと一緒になるつもりでいたようだが、実際にどのように彼女にそれを伝えていたのだろうか。今となってはもう確かめるすべはないのだが……

 勇蔵さん、妻の裕香さんともに「寄り添ってくれない」パートナーへ思うところがあったことを吐露している。裕香さんの不満は要約すると自分を尊重してくれない点にあったといえそうだ。

 一方、勇蔵さんは会社内の問題を解決するにあたって、暁美さんを頼った。はじめ「派遣社員なので何もできない」と自虐的に言っていた彼女を、重視したわけである。彼女としても頼られたことで、一層、勇蔵さんへの好意をつのらせてしまった部分はあるかもしれない。

 暁美さんに向けた尊重する気持ちを、すこしでも裕香さんに向けておけば、不倫がバレたとしても夫婦の関係はまた違ったものになったかもしれない。もしかすると勇蔵さんは田舎暮らしをしなかったかもしれないし、一人暮らしでなければ、ひょっとすると亡くならずに済んだかもしれない。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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