50歳で「一生に一度の恋」に落ちた不倫夫 密会部屋での逢瀬の果てに、思わぬ展開が待っていた

  • ブックマーク

Advertisement

そして「ダブル不倫」へ…

 幸い、彼はごく軽い打撲が脚にあっただけで、他はなんともない。倒れた衝撃すら感じなかったのだから、車に当たっていないのではないかとさえ思っていたという。

「初対面の女性とランチをとるなんて、僕の人生にはほとんどあり得なかった。しかもとても透明な感じの素敵な女性だし。医師であることなんて忘れて、僕は彼女に見とれていました。あまりに見つめてしまったので『何かついてます?』と言われて。いや、きれいなので見とれましたと素直に言ったら笑われました」

 龍太さんは当時を思い出したのか、うれしそうだ。

 1週間くらいしたらまた診察に来てほしいと言われて行った。何も問題ありませんと言ったら、彼女は心底ほっとしたようだった。彼は「親切にされたお礼がしたい。食事にでもいきませんか」と思い切って言ってみた。佳耶子さんは「いいですよ」と気軽に答えた。

「あとでふたりで振り返って、『どうしてあんなにスムーズに恋が始まったんだろうね』と話すことがあります。ふたりとも結婚していて、しかも浮気などしたこともなくて、まじめに仕事をしてきた。なのに僕も彼女も、あの事故が終わってしまうのを阻止したいかのようだった。僕の身体に問題がないと結論づけたらもう会えなくなると、彼女は不安を覚えていたそうです。だから食事でもと言われてうれしかった、と。僕は食事を断られたら、心配だからまた診察してくださいと言うつもりだった」

 お互いに「このまま離れたくない」と思っていたのだろう。何度か食事に行き、お互いのこれまでを尋ね合い、聴きあった。4歳年下の佳耶子さんは両親も医師で、夫は研究者。高校生になったばかりの娘は、遠方で寮生活を送っているという。お互いの背景がわかっても、もっともっと相手のことを知りたかった。そして知れば知るほど、欲望を隠しきれなくなっていった。

 ある日、暗黙の了解のようにホテルに行った。そうしなければ自分がどうにかなりそうだったと龍太さんは言う。そして佳耶子さんも同じ思いを抱いていた。

次ページ:「アパートを借りる」

前へ 2 3 4 5 6 次へ

[4/6ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。