「山口組」分裂 「勝者なき7年」と言われる理由とは?

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真正な山口組を争って

 山口組が分裂し、今年で7年目の夏を迎えた。その後、組織は3つに割れたが、抗争を重ねる中で6代目山口組(司忍組長)の圧倒的優位は揺るぎないものとなっている。その一方でこの分裂期間について「勝者なき7年」と評する声もある。元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は暴力団組員の更生を支援するNPO法人「五仁會」を主宰)に、改めて分析・解説してもらった。

 2015年8月に脱退した勢力が神戸山口組(井上邦雄組長)を結成し、それから2年弱で今度は神戸山口組から任侠団体 山口組(現・絆會/織田絆誠代表)が生まれ、山口組は三すくみの状態となった。

「任侠団体山口組は、神戸山口組の織田絆誠若頭代行がトップとなって立ち上げた団体でした。“弘道会が支配する6代目山口組はカネの亡者だ、我々こそ真正な山口組だと言って飛び出したはずの神戸山口組が同様かそれ以上のことをしている”などと、口を極めて罵っただけに神戸山口組の怒りは相当なもので、襲撃は時間の問題とされていましたね」

 と、竹垣氏。実際、任侠団体山口組の立ち上げから5カ月後の2017年9月に織田代表は襲撃される。

ヒットマンへの待遇の差

「神戸山口組が派遣したヒットマン・菱川龍己組員は織田代表を狙ったものの果たせず、結果的に織田代表のボディガードが射殺されました。菱川組員は殺人容疑で指名手配中ですが、いまだ逃走中なのか捜査の目をかいくぐっており、神戸山口組側が何らかの手助けをしているものと思われます」

 一時はこのように襲撃があれば報復(カエシ)、そしてさらなる襲撃が繰り返されてきたが、現在は襲撃を仕掛けるのは6代目山口組のみ、という状況が続いている。

「ヒットマンへの待遇の差が大きいと感じています。例えば、兵庫県尼崎市において、神戸山口組幹部で古川組の古川恵一総裁が自動小銃を15発も連射されて死亡した事件がありました。6代目山口組系竹中組(安東美樹組長)の元組員、朝比奈久徳被告には1審で無期懲役の判決が下され、2審もこれを支持したのですが、控訴審が始まった段階で朝比奈被告の姓が安東に変わっており、安東組長と養子縁組したことがわかりました。“死ぬまで面倒を見る”ということを示すメッセージです。これは、組織のためにカラダを張る組事(くみごと)に関わるヒットマンらにとって、心の支えになるものでしょう。その他、組事で服役している組員らに6代目側は面会を欠かさず、その家族らへのサポートも手厚いということでした」

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