「ウチの太った妻が不倫するなんて信じられない」 42歳会社員の悲しき“勘違い”

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罵声、暴力は逆効果

 一般的に、夫が浮気をした場合、妻の怒りの矛先は浮気相手の女性に向かいがちです。

「夫に手を出した女が憎い、この泥棒猫!」というアレですね。

 逆に、妻が浮気をした場合、夫の怒りは妻に向かいがちです。

「俺様に恥をかかせやがって、この淫売!」というアレです。この場合、妻はまるで「俺様」の所有物のようですね。

 こういった傾向は相談者の彼だけでなく、多くの男性に見られるものです。

 男性と女性は、怒りの方向が異なることが多いため、相談者の彼が妻に対して怒りを覚えること自体を止めることはできませんが、だからといって、怒鳴りつけたりボコボコに殴ったりすると関係は悪化してしまいます。妻の話も聞かないまま一方的に怒鳴りつけるのであれば、妻の気持ちが夫から離れてしまいかねません。ひとたび女性の気持ちが離れてしまうと元に戻るのは難しいものですから、彼にはそれを理解してアプローチを考えていくよう促します。

 罵声や暴力によって二人の関係性を良くしたり、夫婦の絆を取り戻したりすることはできないのです。

妻は夫の所有物ではなく、「母親」という役割だけでもない

 この相談者の場合、自分の妻について他者へ説明する時に使う言葉が気になります。

 妻は太っている、地味だ、カッコいい女ではない、おしゃれではない。これらの言葉を使って自分の妻を表現する夫が、彼女を大切にしているとは思えません。妻が浮気をしているかどうかという以前に、彼には、妻をもう少し尊重してほしいと思います。それには、妻は夫の所有物ではないということと、母親という役割を果たすだけの存在ではないことを分かっていただかなければなりません。

 一度心が離れてしまった妻を夫が取り戻すのは、じつはとても難しいことですが、それでも、彼が妻と離婚するつもりはなく結婚生活を続けたいと望むのであれば、彼には具体的なアドバイスをしなければなりません。

「彼女を取り戻したいのであれば、少しだけ言葉遣いを改めていただきたいと思います。奥様に対して、たとえば、勤務先の同僚女性に話す時と同じような言葉を使ってみてはいかがですか。彼女は、妻、母という役割を果たしながら生きていますが一人の女性です。女性をあがめたたえろというのではなく、妻も一人の人間として尊重した適切な言葉遣いで話してくださいね。お子様にとっても、『お父さんがお母さんを大切にしている』と感じられる対応をなさるほうがパパも尊敬されます。家族を大切にしてくださいね」

 失って、あるいは失いかけて、ようやくその大切さに気付くのは悲しいことです。

池内ひろ美(いけうちひろみ)
家族問題評論家。一般社団法人ガールパワー(Girl Power)代表理事。家族メンター協会代表理事。内閣府後援女性活躍推進委員会理事。1996年より「東京家族ラボ」を主宰。『とりあえず結婚するという生き方』『妻の浮気』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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