「ウチの太った妻が不倫するなんて信じられない」 42歳会社員の悲しき“勘違い”
「地味でおとなしい女だと思っていたのに…」
新型コロナ禍により、リモートワークが増え、会食が減り、人と人との付き合いが希薄になった、とはよく言われる。が、一方でその間隙を縫ってとでもいうべきか、新たな人間関係の構築に励む男女も少なからずいるようだ。
これまで4万件近い家族の問題に向き合ってきた家族問題評論家の池内ひろ美さん(東京家族ラボ主宰)。彼女のもとにやってきたのは妻の浮気で悩む夫だった。【SNS時代の家族問題/第2回】
(個人が特定されないように年齢や肩書などを一部変えています)
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未曾有のコロナ禍となって以降、浮気は増えたのか減ったのか? そんなテーマでテレビや新聞・雑誌の取材を何度も受けてきました。その度に私は、「統計としては表れませんが、30年近く夫婦問題の相談を受けてきた立場から申し上げれば、コロナ禍で浮気は増えています」と答えてきました。
本当に増えていると感じます。それは、夫の浮気が増えているというだけではありません。妻たちの浮気も増えています。Netflixで大人気となったドラマ「金魚妻」を例に挙げるまでもなく、相手が夫や自分よりもかなり年下の男性だったり、夫がオフィス勤務のサラリーマンの場合は肉体労働者だったり、「夫とは異なるタイプの男性」と浮気する女性が増えています。
「まさか、うちの妻が浮気するなんて想像もしませんでしたよ。まさか、ですよ。地味でおとなしい女だと思っていたのに、まさか浮気するなんて。子供を3人も産んでいるのに、母親なのに、まさか浮気するなんて」
42歳の男性が、まさか、まさかと繰り返しおっしゃるため、私の頭の中には、「人生には三つの坂がある。上り坂、下り坂、そして『まさか』という坂」などと、江戸時代の儒学者荻生徂徠の逸話をもとに作られた「徂徠豆腐」の中のセリフが浮かんできます。その「まさか」という坂を越えることができなければ、江戸では生きていくことができません。隣戸からの出火で全焼した豆腐屋の旦那が、江戸ではもう生きられないから田舎へ流れていこうかと女房に伝えるときの名セリフです。
「江戸にいたんじゃ、『まさかこんなことはできねえ、まさかあんなことはできねえ』って、まさかって『坂』を心にこしらえてしまう」
荻生徂徠の逸話はさておき、目の前の彼は、何を「まさか」と繰り返しているのでしょう。
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