カチコミに「高速バス」、餞別は5万円、内縁の妻は涙の嘆願……山口組抗争の陰で「哀しきヒットマン」法廷レポート

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無言で視線を送る

 それからおよそ1ヵ月後。8月1日午後に行われた判決では、相変わらず法廷に厳重な警備が敷かれ、組関係者と思しき人物も複数人、傍聴に訪れていた。そこで2人に言い渡された判決は懲役2年4ヵ月だった。

「求刑は懲役5年で、想像していたよりは軽い判決だったと言えます。ただ、最終的に襲撃した店に全額弁償したとはいえ、2人とも暴力団の構成員で前科があります。3週間で3回も店を襲撃した、その背景に組の抗争があったことが悪質と判断されたのは間違ありません。今後も、抗争事件に絡む犯行の厳罰化は止められないでしょう」(全国紙社会部記者)

 閉廷後、組長は傍聴に訪れた内縁の妻に無言で視線を送った。内縁の妻は目に涙をためたような表情で、しきりにうなずいていた。

 2人が刑期満了で刑務所を出られるのは2年後の初冬になる。その頃には、分裂抗争に終止符は打たれているのだろうか。暴力団関係者への締め付けが厳しくなるなか、より一層身に応える寒さが2人を待っているかもしれない。

デイリー新潮編集部

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