“逮捕状握り潰し”中村警察庁長官は国葬を待たず辞任すべきか 伊藤詩織さんが勝訴後に語った思いとは

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 世間の耳目は統一教会と永田町の関係に集まっているが、もう一つ、決して忘れてはならない問題が残されている。警察が警護対象者である元総理の生命を守れなかったことへの責任問題だ。だが、組織のトップは責任を取らず、未だその椅子に留まっている。

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 第29代警察庁長官、中村格(いたる)氏(59)は事件直後、目も落ちくぼみ、憔悴著しかった。親しい記者も長官室に招き入れず、10日ほど巣ごもり状態にあったという。

「ですが、最近は元気を取り戻しつつあります。個別に各社を応接室に入れ、やんわりと報道に不平をもらしています。特に米村敏朗さんなど警視総監経験者が警備の問題についてメディアで厳しい論評を下すのを面白く思っていないようです」(社会部デスク)

 警察庁は8月いっぱい時間をかけて警備の問題点を検証するとした。

「内容を発表後、9月にも中村長官が退任する流れです」(同)

 昨年9月に就任した長官は責任を取って早めに身を退くということか。

「いえ、そうではなく、秋口の退任は既定路線なんです。中村長官の同期で本来、長官・(警視)総監レースのトップを走っていたのは、現在、警察ナンバー2の露木康浩・警察庁次長(58)でした。それを、菅義偉官房長官の秘書官時代に抜群の調整力で安倍官邸に気に入られた中村さんが、政治力でひっくり返したんです。でも警察庁内では露木さんも長官に就かせたいとの声が強くあり、任期を分け合うことになった」(同)

 かくして同期二人が長官に昇り詰める異例の人事が決まっていたというわけだ。

「逮捕状握り潰し」が背景に

 県警本部長経験もある元警察庁幹部は苦言を呈す。

「更迭に値する歴史的失態なのに、これでは引責辞任どころか勇退に近い。検証なんて他に任せて、さっさと辞めるべきなんです。未だ誰一人、責任を取っていないなんて異常。これではどんな大きなミスを犯しても責任を問われない組織になってしまう。本来、こういう時に辞めるために、キャリアはいるんですから」

 今回の警備に、金高雅仁・第25代警察庁長官(68)は、

「僕も背後の警備が足りないという感想を持った。それで、あんな事件が起きてしまったのはなぜなのかと疑問に思い、実際、現場に足を運びました。確かに難しい現場です。後ろに壁がなく、360度警戒をしないといけません。逆に言えば、それだけの警戒態勢を取らないといけなかった。ですから、現場の責任だけにはできません」

 やはり警察組織トップの責任を示唆するのである。

 ある警視総監経験者が溜め息交じりに言う。

「格の命運は官邸次第。カギを握るのは、2代前の警察庁長官で、現在、岸田官邸で全官僚のトップを務める栗生(くりゅう)俊一・官房副長官。栗生は格が可愛いから、守りたいんだろうけど……」

 ちなみに栗生氏は内閣人事局長も兼ねている。

 栗生副長官が中村氏に入れ込むワケは、

週刊新潮が17年に報じた、ある事件に関連します」(前出・デスク)

 話は7年前にさかのぼる。TBSのワシントン支局長だった“安倍総理ベッタリ記者”山口敬之氏(56)が、ジャーナリストの伊藤詩織さん(33)を合意なくホテルで姦淫。捜査を進めた高輪署は翌年、準強姦容疑で逮捕状を取った。

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