統一教会に5億4700万円奪われた女性の人生 「縄文時代の祖先」まで持ち出す強引な論理とは

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 安倍晋三元首相の銃殺事件の影響で、久しぶりにニュース番組の主役に躍り出た統一教会(現:世界平和統一家庭連合)。報道を受けて、教団側は記者会見を開き、声明を発表している。その中で彼らが強調しているのが「2009年のコンプライアンス宣言」の存在だ。

 たしかに献金をめぐるトラブルが多発していた時期はあった、しかしコンプライアンス宣言以降、そうしたトラブルは「ごくわずか」だ、というのが彼らの主張である。

 その主張自体がどこまで本当なのかはさておき、こうした宣言をせざるを得なくなったのは、霊感商法が社会問題化し、さらに民事訴訟で教団側に賠償が命じられる判決が下されたことが背景にある。

 2008年2月には、都内在住の70歳になる女性Bさんが統一教会と信者に計5億4700万円の損害賠償を求めた訴訟において、最高裁がBさんの上告を退けるという決定を下した。このように書くと、統一教会が勝利したように思われるかもしれないが、実は東京高裁において、Bさんの請求額のうち2億7620万円は「違法な献金集めの結果被った損害」だと認められている。最高裁もその判決をそのまま追認したのである。

 この決定は当時、「統一教会に2億8000万円の賠償命令確定 個人で過去最高」と新聞等でも報じられた。

 被害者からすれば半分しか取り戻せなかったわけだが、それでもその違法性が認められた意義は大きかったといえるだろう。

 ここでご紹介するのは、Bさんがどのように教団に誘われ、億単位の金を献金するに至ったかの詳細な記録だ。2007年、宗教学者の櫻井義秀氏はBさんの弁護団の求めに応じて意見書を東京高裁に提出した。これ以上被害者を出さないために、という考えがあったからだ。

 それにしても、一体どういう理屈をつければ億単位の金を求めることができるのか。そこには「縄文時代」にまで遡って怨みを解かねばならない、といった無茶苦茶な教えがあったのだ。しかも韓国人の献金額と日本人とには大きな差もつけられていた。

 以下、櫻井氏の著書『霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造―』からBさんがどのようにして統一教会と出会い、大金をだまし取られていったかを見てみよう(引用はすべて同書第2章「統一教会と霊感商法」より)

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