【基礎から分かる】統一教会はどのように生まれ、何を教えているのか 安倍元総理暗殺事件で注目
安倍晋三元総理の銃撃事件を機に、久しぶりにクローズアップされることになったのが統一教会(現:世界平和統一家庭連合)である。有名歌手や人気体操選手の入信などを巡って、ワイドショーが統一教会関連ニュース一色になったのは1990年代初め頃。もう今から30年ほど前の話なので、平成生まれにはピンとこない存在かもしれない。
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今回の容疑者が語っているように、かつては信者が多額の献金をして破滅したというケースが多く伝えられていた。また、一方で「合同結婚式」に代表される独特の結婚システムも問題視されてきた。大学などではダミー団体による勧誘も活発で、知らないうちに「洗脳」されていた、といったケースも多く報告されている。
一体、統一教会とはどういう宗教団体なのか。
そのなりたちや協議について宗教学者の櫻井義秀氏の著書『霊と金―スピリチュアル・ビジネスの構造―』をもとに見てみよう(以下、引用はすべて同書第2章「統一教会と霊感商法」より・記述はすべて同書刊行時=2009年のものです)。
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統一教会のなりたち
統一教会の正式名称は、世界基督教統一神霊協会(The Holy Spirit Association for the Unification of World Christianity)である。統一教会(略称)は、1954年に韓国で文鮮明により創設され、日本では1959年から伝道が開始された。日本では50年近い宣教の歴史があり、数万人の信者がいると推定される。
教祖の文鮮明は1920年に現在の北朝鮮、平安北道定州郡に生まれ、16歳でイエスから啓示を受けたという。1941~43年、早稲田高等工学校に在籍し、卒業後鹿島組で働くが、終戦後、退職して韓国のイスラエル修道院で補助引導師になる。1946~50年、平壌で伝道活動を行うがスパイ容疑で逮捕され、興南監獄に収容される。国連軍の進撃で解放され九死に一生を得た後、今度は釜山で伝道を再開する。この時期、キリスト教は燎原の火のように韓国人の心をとらえ、どこを歩いても掘っ立て小屋の教会や牧師の熱烈な説教に出くわしたといわれている。統一教会はそのような新興教会の一つであった。
文鮮明の教説を弟子の劉孝元が1957年にまとめたものが「原理解説」(「原理講論」の完成は1966年)と呼ばれる教典である。1955年、韓国の名門梨花女子大の教師5名と学生14名が入教を理由に退職・退学させられ、文鮮明は信者たちを教会に不法監禁したとして検挙された。教祖と信者の女性たちが「血分け」と呼ばれる性的秘儀を行ったというスキャンダルであったが、実態は語られていない。結局、無罪判決を得ている。
その後、教勢は徐々に伸びたが、財団法人の認可を得たのは1963年であった。文鮮明は1965年に世界巡回路程に出発し、1971年以降はアメリカに居を構え、世界宣教を指揮することになる。
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