「人生これでいいのか」と不倫の道へ… 浮気夫を2度驚かせた、“20年連れ添った妻”の秘密

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「妻の飢えは僕では埋められない」

 彼はその場で亜樹さんを優しく抱きしめたという。彼女の匂いがかすかにした。忘れていた遠い日から今までの結婚生活のことが、急に思い出されてきた。

「いつの間にか、お互いに違う方向を見てしまったのかもしれないねと言いました。妻も私の胸に顔を寄せて頷いていました」

 お互いに相手を責めるのはやめよう、起こってしまったことはしかたがないと彼は言った。「私は恋をしたほうが罪は重いと思う」と妻は返した。それでも離婚の「り」の字もどちらも言わなかった。

 ふたりとも家庭を重要だと思ってはいる。だが、彼と亜樹さんは今も「男女」には戻れないままだ。妻がそれを望んでいるとも思えないし、庸輔さん自身も「その気にはなれない」という。

 つい先日、たまたま置いてあった妻の携帯が鳴り、連絡先の名前が出た。不審に思って検索すると、そこは「女性による女性のための風俗」だった。つまり、女性が女性にサービスをするところだ。今、実際にそういった店に通う女性たちは増えている。

「僕がとやかく言うことではないなと思っています。妻の心身の飢えは、僕では埋められないような気がしている。家庭を壊すつもりがないなら、妻を責めてもしかたがない。あと10年たったら、妻の欲望や渇望みたいなものも消えていくかもしれない。ここで責めてやめさせても恨まれるだけでしょうしね」

 ふうーと大きなため息をついて、庸輔さんは黙りこくった。

「彼女は性的な満足感を得たいという欲求が強いんだと思います。そろそろ更年期を迎えて、焦燥感があるのかもしれない。だから後悔しないよう、いろいろ試しているんじゃないか。そんな気がする。僕じゃダメなんでしょう」

 長年、それなりに円満だった夫婦関係に思わぬヒビが入っていたことを知らされたと庸輔さんは言う。どちらが先に、相手に異性としての興味を失ったのかはわからない。だが、それでも夫婦は続いていく。互いに肉体的な欲求そのものが薄れたとき、夫婦の関係は落ち着いて老後へと向かっていけるのだろうか。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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