「人生これでいいのか」と不倫の道へ… 浮気夫を2度驚かせた、“20年連れ添った妻”の秘密

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癒やされたい女性に疲弊させられて

 それでもつきあえばつきあうほど、彼は疲弊していった。自分が彼女の寂しさを埋めるんだといきがっていたが、彼女はどんどん彼に依存するようになっていったからだ。自分が納得できないとメッセージのやりとりを終わらせない、何かあるとすぐに「重要な相談があるの」と連絡がくる。飛んでいくと、ただの愚痴だったりする。それがつきあっていくうちにひどくなっていき、彼は1年もたたずに悲鳴を上げた。

「もう有美子にはつきあいきれないと言うと、彼女は『だったら奥さんにバラす』と言い出した。それは卑怯だろうとケンカになって……。結局、『最低の男ね』と泣く彼女をそのままに僕は帰宅しました。バラすならバラしてもいいよ、という言葉を投げつけて」

 恋の最後は苦かった。揉めずに別れるのは、大人になってもむずかしい。精神的な成熟度が試される場面だ。彼自身も、最後まで有美子さんに優しくできなかったことを少なからず後悔していると言った。

「でもあのころ、僕は本当に疲れていました。仕事で疲れ、癒やされたい女性にさらに疲弊させられた。そういう関係になってしまったのは僕にももちろん責任がありますが」

 もう恋はいい。そう思いながら、彼は「やはり家庭がいちばん大事だ」と考えを改めた。ちょうど長女が受験を迎えていたため、よく夜食を作った。受験のときは彼が自らお弁当を作って送り出した。そして長男も無事に大学に合格した昨年の春、彼は妻の秘密をかぎつけてしまった。

「自分が落ち着いた生活をするようになったら、妻の動向が気になって。理由はわからないけど、なんとなく様子が以前と違う。コロナ禍で妻は在宅勤務が増えたと言っていたのに、実際にはけっこう出かけていたらしい。長男にそれとなく聞いてわかりました。寝たふりをしていると、深夜に突然起き出して、スマホとにらめっこしていることもある。自分が浮気していたからかもしれませんが、妻の言動が疑わしいんですよ」

妻が一緒に居た相手は…

 昨年秋のある日、妻は「今日は残業で遅くなる」と言っていたが、夜11時を回っても帰ってこない。携帯もつながらない。午前零時になったころ、ようやく連絡があり、「同僚が具合が悪くなって救急で搬送された。朝までこっちにいる」とメッセージがあった。

「その人に家族はいないのか、病院はどこだと尋ねても無視されました。妙な胸騒ぎがして一睡もできなかった。翌日は土曜日だったんですが、昼頃、妻が疲れ切った様子で帰ってきた。子どもたちはいませんでした。いったいどうしたんだと聞いたら妻が突然、泣き出して」

 実は亜樹さんは出張ホストとホテルにいたのだという。そして関係を結んでいる最中、相手が急に具合が悪くなった。フロントに連絡、救急車を呼んでもらったときには彼はすでに意識不明で、病院に着く前に事切れた。亜樹さんは警察に事情を聞かれ、派遣元の会社から人が来て、ようやく解放された。

「一緒にいた人が突然死したことで亜樹はショックを受け、ついしゃべってしまったんでしょうけど、僕は亜樹がそういうところを利用しているのがショックだった。いったい、いつから……というと、『あなたが浮気しているからよ』と。知ってたのか、とこれまた衝撃を受けました」

 気づかないわけないでしょう、外泊ばかりしてと、亜樹さんは彼を責め立てた。長女の受験直前に別れたでしょ、それだって知ってるわよ、わかるわよと妻は声を大きくした。

「ごめん、と言うしかなかった。だけどそれとこれとは別だろうという思いもありました。亜樹は『私だって人肌が恋しいときはある。誰かに包まれたかった』と絞り出すように言いました。だからって出張ホストなのかと言ったら、『お金で片が付く関係のほうが後腐れないでしょ。現にあなたは相手と揉めてたみたいだったし』と。仕返しのつもりなのかと思ったけど、それは違うと彼女は否定していました」

 気づいたら妻とは10年以上、触れあっていなかった。それでも仲がいいと思っていた。妻とふたりきりで結婚記念日に食事に行ったりもしていたはずだ。あれは愛情の証ではなかったのか。

「愛情はあります、確かに。だけど妻をひとりの女性としてきちんと見てはいなかった。それはお互いさまだと思いますけどね。夫婦で、いちいち相手を異性として見ていたら、家庭生活はやっていけないような気もします」

 庸輔さんの本音が出る。彼は要所要所で、ポロリと本音を出す。それが彼のいいところなのか悪いところなのかはわからないが。

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