「肉より魚、大豆」派は短命? 加齢臭に効く食品は? プロが明かす60代以降の食事術

ドクター新潮 健康 食事

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毎食20g以上

 たんぱく質は20種類のアミノ酸によって構成されており、そのうち、ロイシンなどの9種類は体内で必要量を合成できず、肉や魚などの食品から取る必要があります。つまり、きちんと食べてたんぱく質を取らないと、体の組織を維持することができないのです。

「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、1日のたんぱく質推奨量は15~64歳の男性が65g、65歳以上の男性が60g、18歳以上の女性が50gとなっています。ただ、これはあくまで基準に過ぎず、何グラム以上なら絶対に大丈夫、というものではありません。男女問わず体重1kgあたり1g以上、つまり体重50kgの人であれば1日50g以上取った方がいいですよ、といった指標もあります。これらが分かりにくければ、毎食20g以上取るのがベスト、と覚えておくのがいいかもしれません。

 朝食、昼食、夕食の中では、特に朝食の際に積極的にたんぱく質を取ることが大事です。寝ている間にたんぱく質不足、エネルギー不足に陥っているので、その分を供給してあげる必要があるのです。

野菜ばかりでは…

 また、たんぱく質だけではなく、適量の脂質や糖質が含まれる朝食をしっかり取ると、老化を遅らせる体内物質NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を増やすことができます。朝食はコーヒーとトーストだけ、といった粗食ですませている方も少なくないでしょうが、それでは十分な栄養もエネルギーも取れません。朝食でたんぱく質やエネルギーをしっかり確保することで生体リズムが整い、NADの体内での活性を高めることができるのです。

 1食でたんぱく質20gが取れる朝食とは、例えば次のようなものです。

 食パン8枚切り2枚、卵1個、牛乳200ml。これでたんぱく質の合計は約20gとなります。ここに野菜サラダなどをつける場合もあるでしょうが、私は60歳を過ぎた方には、野菜を最初に食べておかずや主食を後回しにする「野菜ファースト」は基本的におすすめしていません。野菜を最初に食べることでお腹が満足してしまい、肉や卵といったたんぱく質が食べられなくなってしまう人が意外に多いのです。また、健康志向の高い方は「野菜を食べておけば健康が維持できる」と勘違いしていることが多い。しかし、野菜ばかり食べてたんぱく質を取らなければ筋力は落ちてしまうので、食事の際は「肉・魚ファースト」をおすすめします。

 加えて言えば、豆腐や納豆などの大豆製品を食べているからたんぱく質の摂取は足りている、と思っている人も多いですが、筋肉がつきやすいのは、肉や魚や卵などの動物性たんぱく質の方です。

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