最大級の的屋系組織「極東会」傘下団体の幹部死亡の真相 松山眞一元会長の逝去との関連は?

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今時、あんな街中にヤクザの組事務所が

 市内で観光業に携わる男性は、こう苦笑いする。

「旅館などの宿泊施設も飲食店も、新型コロナウイルスによる観光客離れで、近年はどこも大きく売り上げを落としていました。今年のゴールデンウイークは、やっと行動制限が解除され、例年近くまで人出が戻った矢先。今回の事件が街全体のイメージダウンにつながらないか心配です。他県に住む知人からは『今時、あんな街中にヤクザの組事務所があるの?』と連絡が来ましたよ」

 暴力団排除が徹底される昨今、抗争事件などが起こるたびに、暴力団員が拠点とする事務所の存在が問題視されてきた。度重なる市民への襲撃事件で特定危険指定暴力団に指定された「工藤會」は、2020年に福岡県北九州市に構える本部事務所が、同市や福岡県警の主導で撤去された。

 今回の事件の舞台となった茨城県でも、県警と地元弁護士会が自治体を支援し、暴力団事務所の撤去を積極的に進めてきた実績がある。

工藤會のスキームとは別

 指定暴力団「松葉会」が同県守谷市に建設した松葉会会館は、地元住民らの反対運動を機に、2016年に市が登記上の所有者から買い取る決断を下した。

 直近でも、水戸市内にある6代目山口組傘下団体の事務所について、市が使用禁止を求める仮処分を水戸地裁に申し立てていた。この事務所は今年1月に幹部が何者かに襲撃され、射殺される事件が起こった舞台である。

 申し立ての結果、市が組側から約1700万円で買い取る和解が成立し、射殺事件の発生からわずか4カ月で、事務所の明け渡しが完了している。ただし、今回の極東会の事件は内部トラブルが原因だけに、スピーディーな解決に至るにはハードルがあるのだという。

「自治体が暴力団側から直接、事務所を買い取る手法は、ともすれば反社会的勢力への利益供与との批判を受けかねません。工藤會のケースでは、福岡県暴力追放運動推進センターを通じて、本部事務所の所有権が一般企業に移転しています。さらに、工藤會側に支払われる売却代金は、解体費用を除いて、同会が関与したとみられる襲撃事件の被害者への賠償に充てられており、利益供与とならないようスキームには細心の注意が払われました。水戸市の6代目山口組事務所の幹部射殺の場合は、対立組織との抗争事件の可能性もあり、市の買い取りにも、『地域住民の安全のため』と理解が得られたのです」(法曹関係者)

 地域に暴力団事務所が無いことに越したことはないのだが……。かき入れ時の夏休みシーズンを目前にして、地元にとって悩ましい問題が積み重なっているようだ。

デイリー新潮編集部

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