長嶋さんが巨人に抱く危機感 中田翔はどれくらいの成績を残せるか【柴田勲のセブンアイズ】

  • ブックマーク

Advertisement

交流戦は負け越し

 今年の交流戦が終わった。巨人は最低5割でいいと思っていたが8勝10敗の負け越しとなった。2年連続の負け越しだ。

 対照的に首位を行くヤクルトは14勝4敗の好成績で18年以来、4年ぶり2度目の交流戦優勝を決めた。パ・リーグ全球団に勝ち越してのVだから価値がある。

 いまのヤクルトは投打のバランスがいい。

 安定している。昨年日本一になった自信を持って戦っている。

 交流戦前、巨人とヤクルトのゲーム差は「1」だったが「7」にまで開いた。最下位の中日までは「6.5」だ。一時は不振を極めた阪神が今季初の4位に浮上。首位のヤクルトを追いかけるどころか、下からの突き上げも厳しくなってきた。

長嶋さんが中田を指導

 そんな折も折、長嶋(茂雄)さんが交流戦最終日に打撃不振から(※)ファーム落ちしていた中田翔を電撃訪問して打撃指導を行った。昨年の9月以来、2度目だ。

 いまの巨人に相当の危機感があるのだろう。

 中田は起爆剤になれる存在だ。報道によれば長嶋さんのアドバイスは次の通りだ。体の力を抜いて振る。バットのヘッドは右耳近くを通してミートポイントへ最短で落とすイメージを持つ。コンパクトに7割ぐらいでいくようにした方がいい。

 私も今コラムで再三にわたって中田の打撃に言及してきた。今季の彼は力感を求めてパワーを前面に押し出していた。バッティングに力感は必要ない。振り回していた。当たれば飛ぶ。6、7割でOKだ。順応性こそ求められる。

 巨人は坂本勇人が離脱中は2年目の中山礼都、不調の中島宏之、中田に代わって増田陸を起用してしのいできた。これは一時的なもので長続きしない。増田陸は気合が入った思い切りのいい打撃をしていたが、1年通しては力不足だ。率を残せない。

 やはりここで頼りになるのは中田のような実績とともに経験のある選手だ。いろいろ言われているが、私は打率2割7分前後、本塁打25本はいけると思っている。打点王を3回獲得したように勝負強さを持っている。

 リーグ戦は17日から再開する。バンテリンドームでの中日3連戦は今後に大きな意味を持つ戦いになるだろう。中田は14日に1軍に合流するという。長嶋さんはアドバイスと同時に激励したかったのだろう。

 原辰徳監督は中田の状態を確認すると思うが、再調整してきた成果を見せてほしい。

次ページ:打順はこれでいいのか

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。