長嶋さんが巨人に抱く危機感 中田翔はどれくらいの成績を残せるか【柴田勲のセブンアイズ】

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打順はこれでいいのか

 その原監督はいまだに1番に丸佳浩を置き、3番に吉川尚輝を起用している。一刻も早く吉川尚を1番に戻すべきだと思う。相手チームは足のある選手を嫌がる。まあチーム事情があるのだろうが、吉川尚は開幕から1番で活躍してきた。何度も言うが役割的にはここだろう。
 
 私なら1番・吉川尚、2番・坂本、3番・丸、4番・岡本和真、5番アダム・ウォーカー、6番グレゴリー・ポランコ、そして7番に中田だ。これがノーマルだろう。打撃不振で、これまたファームで再調整中の大城卓三が帰ってきたら8番に置けばいい。

 交流戦最後の楽天戦で則本昂大からなんとか後半に2点は取ったが低めへの丁寧な投球にやられた。経験豊かな則本の低めのボール球を振らされていた。
 
 岡本和はたまに一発が出るけど安定していない。どうもアッパースイング気味になっている。緩い変化球にはなんとか対応できても速球には対応が難しい。どうしても力んでバットが下から出てしまう。

 こんな時はライナーを打つ打撃練習をした方がいい。上からダウン気味にたたく。ゲームになったら忘れる。繰り返していけば徐々に直っていく。打率も上がる。
 
 脇役がいくら頑張っても限界がある。主役は4番だ。見ているとストライクを見逃してボール球に手を出している。いまの巨人打線で最も素直にバットが出ているのはウォーカーだ。守備の問題があるが欠かせない存在になっている。

投手は?

 先発投手がある程度キッチリ投げないと試合にならない。12日の楽天戦はその典型だった。先発の山崎伊織が1回2/3でKOとなると、中継ぎ陣が悪い流れを止めることはまず無理だ。前回も同じようなことを記した覚えがある。2番手の鍵谷陽平も四球を出してピンチを拡大して打ち込まれた。早々に試合が決まったのも当然だった。

 9回には(翁田)大勢がいる。8回までどうやってしのいでいくかだ。現状の菅野智之、戸郷翔征、C.C.メルセデスの3本柱を中心に外国人投手二人をうまく起用する。中継ぎ陣をやり繰りし、そして赤星優志、山崎、高橋優貴ら若手の台頭・復調を待つ。
 
 数字的にヤクルトにこれ以上離されてはダメだ。好調のヤクルトはいますぐにでも試合をやりたいだろうが、17日の再開まであと3日間ある。

 リフレッシュして臨んでもらいたい。

 (※)今季は41試合に出場し打率.215、5本塁打、打点20。6月6日に出場選手登録を抹消されていた。成績は13日現在。

柴田勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会副理事長を務める。

デイリー新潮編集部

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