アメリカ国民にシラけムード…バイデン政権はウクライナどころではなくなりつつある

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 米国で「経済を犠牲にしてでもロシアへの制裁を続けるべきだ」との意見を支持する人の割合が減ってきている。

 AP通信が5月24日に発表した世論調査によれば、「米国の最優先事項はロシアに可能な限り効果的な制裁を科すことである」と回答した人は45%となり、3月の55%から10ポイント低下した。一方、「米国経済への損害を抑えるべきだ」と回答した人は増加し、51%となった。インフレの高進に苦しむ中、ロシアへの制裁よりも日常の生活問題を重視する傾向が強まっている。

 同じく24日に公表されたロイターの世論調査によれば、バイデン大統領の支持率は前週から6ポイント低下して36%となり、就任以来最低となった。党派別で見たバイデン大統領の支持率は、民主党員が76%から72%に低下、共和党員は10%にとどまった。

 バイデン大統領の支持率は昨年8月以降、50%を下回っており、今年11月の中間選挙で民主党が上下両院で過半数の議席を確保できない可能性が高まっている。

 このことからわかるのは、ウクライナ危機への対応がバイデン大統領の支持につながっていないことだ。米国の大手メデイアは連日のようにウクライナ情勢について報じているが、「多くの米国民はしらけている」と言っても過言ではない。

 21日にウクライナ支援に約400億ドルを充てる追加予算が成立したが、「ウクライナ支援は過剰ではないか」との声が高まりつつある(5月24日付Forbes)。ロシアが2月24日に侵攻して以来、米国はウクライナに対し既に600億ドル(ウクライナのGDPの半分)もの支援を行ってきたにもかかわらず、明確な落としどころを明示しないバイデン政権に対する不満は募るばかりだ。

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