人妻に手を出し、突然夫から呼び出された41歳男性 彼女の“信じがたい言い訳”と鼻を折られて残った感情

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今度は友人の彼女を…

 大学を出て就職してからは、ほとんど恋愛には縁がなかった。

「社会人になると、そう簡単に恋人なんてできないなと思いました。周りの女性社員と恋したら、別れたときにばつが悪いし、かといって社内結婚ということになっても、なんだか居心地が悪くなりそうで。いつも学生時代の友人や会社の同期とつるんでいましたが、本音では寂しい、恋人がほしいと思っていました」

 そんなとき、友人がつきあい始めた彼女の里穂さんに一目惚れした。自分の気持ちを押し隠して、友人と3人でときどき飲んだ。苦しいけど彼女に会いたい。だから誘われれば出向いていった。

「あるとき、彼から彼女のことを相談されたんです。彼女に好きな男がいるんじゃないかと思う、と。それはないだろと言ったんですが、僕も気になって。そうしたら里穂からも連絡があり、相談したいと。『私、彼とはうまくいかないと思う。どうしたらいい?』と妙に濡れた感じの瞳でじっと見つめられた。そのとき、家庭教師先の奥さんを思い出したんです。あの人にもこんな目で見られたなって」

 結局、彼は友人から里穂さんを奪い取った形となった。それを知った友人からは「おまえが言い寄ったんだろ」と言われ、大げんかになったあげくに殴られたが、それでも彼は黙って耐えた。ふたりはそれからわずか2ヶ月後には結婚した。一哉さんが28歳、里穂さんが26歳のときだった。

「結婚という形をとらないと誰にも理解してもらえないような気がして焦ったのかもしれません。そうでないと里穂の名誉にもかかわると感じていた。でも実際、里穂とはあまり性格が合わなかったんです。それは薄々感じていた。結婚したらなんとなくうまくいってしまうのではないかと思っていましたが、そんなはずはありませんよね」

 結婚を決めて初めて知ったのだが、里穂さんの実家は資産家だった。結婚してからも彼女は何かというと実家に帰ってしまうし、両親の意向を尊重した。仲のいい家族を羨ましく思いながらも、彼としては自立していない女性を妻にもっているのがだんだんイライラのもとになっていった。

 結婚生活は2年ともたず崩壊。もともと彼女の恋人だった友人とは、離婚後に再会して「オレだったらうまくやれたのに」と言われた。彼自身もそうかもしれないと答えたという。

次は「上司の妻」

 波乱に満ちた20代だったから、30代は仕事に精進しようと彼は決めたという。それでもときどき「相談に乗って」と言われた女性と関係をもったことはある。やむにやまれずだ。

「男女の関係って、寝てしまうとひとつケリがつくようなところがあるという気がして……。今になって思うんですが、結局、僕は誰かときちんと向き合う関係を作れなかったのかもしれません」

 性的な関係をもってしまえば、それが区切りになる。自分と相手の距離がつかめる。いや、むしろ距離を決めるために関係をもつのかもしれない。一哉さんの言い分が私にはわかったが、一般的にはどこか歪んだ考え方かもしれない。

「人に埋没するような恋ができなかった。それはそれで楽で幸せだったけど、今から3年ほど前、無条件に惹かれる人と出会ったんです。彼女になら何をされてもかまわない、無理を言われても受け入れる。そんな気持ちになりました」

 一哉さんが38歳、相手の女性は43歳。新しく赴任してきた上司の妻だった。上司は好人物で、その前の上司がパワハラ系の人だったので、一気に課の士気が高まった。

「やりたいことはどんどん提案してほしい、迷ったらやろう。責任はオレがとる。そういうタイプの上司で、僕もかっこいいなあと思っていました。集中して仕事をしてプライベートも充実させたほうがいいとも言っていた。そんな彼が部下6人を自宅に招いてくれたんです」

 上司と、妻の理栄子さんは笑顔で会話を交わしながらもてなしてくれた。広い3LDKのマンションはもとは理栄子さんの実家。築40年と古いがリノベーションがしっかりしているので使い勝手もいい。

「上司が少し酔ってワインをこぼしたので、あわてて布巾をとりにキッチンに行ったんです。そうしたら理栄子さんがぼんやりしていた。僕を見てあわてて笑顔を作っていたけど、こんな仲の良さそうな夫婦にも悩みがあるのかなと。『僕はバツイチなんですけど、結婚生活が長く続く秘訣ってなんですか』と世間話として言ったら、『お互いの忍耐を感じることかしらねえ』と。忍耐が大事だと言う人は多いけど、そういう言い方は初めて聞いて、理栄子さんに興味を抱いたんです」

 その数日後、一哉さんはニックネームで登録しているSNSを理栄子さんらしき人がフォローしてくれているのに気づいた。プロフや彼女の投稿を見ると、どうやら理栄子さんで間違いないようだった。

「メッセージを送ってみるとやはりそうでした。よく気づいてくれたわねとざっくばらんな返信がありました。それからときどきメッセージをやりとりするようになったんです」

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