健康長寿を実現する「年代別の生き方」 6千人超の高齢者を診た専門医が指南

ドクター新潮 健康 長寿

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かつらやボトックス注射も大切

 ということで、70代のうちは肉を積極的に食べ、栄養をつけ、免疫力を高めてください。コレステロール値も気にしてはいけません。80代、90代で寝たきりになり、食べすぎると胃がもたれて死にそうになるまでは、食べ続けるべきです。

 新型コロナも本来、高齢でも免疫力を上げれば、それほど危険ではなかったはずです。ところが自粛生活で心も体も弱り、免疫力が落ちていると、重症化してしまうのです。そればかりか、言われた通りに自粛してきた人から歩けなくなっています。70代は普通に歩くだけで運動になるので、食べるだけでなく、外出して歩きましょう。

 もうひとつ。高齢になるほど心と体の状態がリンクしやすいので、見た目も若さを保てるなら保てたほうがいいです。かつらやボトックス注射などで若返りをはかるのは、悪いことではありません。

受け入れながら楽しむ80代

 80代になると、ほとんどの人の脳にアルツハイマー型変化が見られ、認知症の有病率は30%以上。要介護率も40~50%で、がん死亡率は人口10万人あたり1518になります。

 がんばっても維持できないことが目立ってきて、一生懸命歩いていても、歩けなくなる日はくるし、頭を使っていてもボケてきます。

 大事なのは、そうなったときにあがくより、できないことはあきらめ、できることをどう維持するか考えることです。パラリンピックでは障害者が、健常者並みの記録を出したりしますが、あれはできることを思い切り伸ばしているということ。同じ精神をもったほうが得です。認知症でもすばらしい絵を描く人も、足腰が弱って歩けなくなっても頭は明晰な人もいます。

 食事がつらくなってきたら、無理してまで食べないほうがいいです。逆に、塩分を控えるためにおいしくない食事をがまんして食べる必要もありません。がまんはうつや免疫力の低下にもつながります。できることを楽しむことです。

 85歳で約半数、90歳で6割ほどが認知症になります。もの忘れがひどく、昔のように頭が働かなくても、元通りにはできません。しかし落ち込む必要もなく、受け入れながら生きていくことです。軽度認知症ならできることも多いので、現状維持を心がけましょう。

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