遺体に「かぎ十字」の焼き印…ロシアが「民間人虐殺」を繰り返す“明確”な理由

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目的は国益や利害ではない?

「最初から住民を殺害して処理するために持っていったのでしょう。だとすれば、ロシアは国益や利害に基づいて動いているわけではなく、本気でウクライナのロシア化を考えているのではないか、と思うようになりました。具体的にはウクライナ人の殺害やシベリアなどへの強制連行、その後にロシア人の入植が行われる可能性があります」(同)

 ロシア軍は避難民で溢れるウクライナ東部の駅をミサイルで攻撃するなど、理解し難い殺りく行為を繰り返している。それを「正義」だと考えているのだとすれば、これほど恐ろしい話もあるまい。

「ウクライナ人は殺しても構わない、というのは、かつてソ連に攻め込んだナチス・ドイツが“スラブ人という劣った人種は殺しても構わない、むしろ殺した方がいい”と考えていたことに通じる話です」(同)

ナチスとの共通点

 1941年から45年にかけてナチス・ドイツとソ連が戦った独ソ戦では、双方で民間人も含めて3千万人以上が亡くなった。

「今回の戦争は本質的なところで独ソ戦のようになってきた、と感じています」

 大木氏はそう語る。

「例えば、ナチスは『世界観』という言葉を多用しました。プーチン大統領にとって、ウクライナという国はロシアの一部であって、そこにナチスという敵がいたら、殺そうが強制連行しようが問題ではなく、むしろ正義。プーチン大統領の『世界観』からすれば、これはぴったり理屈に合っているわけです」

 ブチャでの大虐殺についてロシア側はウクライナの仕業だと主張しているが、

「ナチスも、ユダヤ人の虐殺が世界に知られて非難されるとまずいということで種々のプロパガンダを展開していました。今回の戦争では、虐殺が世界に知られたら大変な不利益が生じることが分かっているからウクライナのせいにする。ここだけは一般的合理性があります」(同)

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