ウクライナの遺体映像をそのまま流すべきかで議論が勃発 デーブ氏は「猛省すべきはテレビより新聞」

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報道の必要性

 そもそも、いくら戦争の実情を報道するのが重要でも、これほど残酷な映像を流す必要があるのか──こうした疑問をお持ちの向きもあるだろう。

 だが、デーブ氏は「視聴者に必要以上の配慮を行ってしまうと、やはり弊害はあります」と言う。

「メディアが来る日も来る日も廃墟の映像や犠牲者の数しか報じなかったとしたら、逆の意味で麻痺してしまうでしょう。心に刺さる報道ではないので、戦争が悪い意味で日常化してしまい、最終的には無関心になってしまう危険性があります。戦争の恐ろしさを伝え、全世界の人々にウクライナ侵攻について考えてもらうためには、時に犠牲者の姿をありのままに伝えることも大切なのです」(同・デーブ氏)

 同じ戦争でも、例えば2011年から始まったシリア内戦の場合、アメリカのメディアは慎重な報道を行ったという。

「この場合、犠牲者の姿を安易に映してしまうと、ISISなどテロ組織の“宣伝”の片棒を担ぐ可能性が出てしまいます。同じような理由から、2013年に起きたボストンマラソン爆弾テロ事件や、17年のイギリス・マンチェスター・アリーナ爆発事件では、犠牲者の姿を映すことは控えていました」(同・デーブ氏)

朝読毎産の問題点

 だが、ウクライナ侵攻は国家間の戦争だ。テロではない。しかも、ロシアが一方的にウクライナに攻め込むことで始まった。

「ウクライナの人々はスマートフォンで悲惨な状況を写真や動画に収め、インターネット回線を使って世界中に拡散させました。彼らは悲惨な母国の状況を『見てください』と発信したのです。そんな写真や動画を――地上波は制約がありましたが――、CNNなどのニュース専門チャンネルやネットメディアがしっかりと伝えました。今回、日本や欧米各国はロシアに制裁を科すことで素早く一致しましたが、ウクライナの現状がリアルタイムで報道されたことも大きく寄与したのではないでしょうか」(同・デーブ氏)

 地上波放送、ニュース専門チャンネル、そしてネットメディアと見てきたが、今回、デーブ氏が日米の違いを最も感じるのは新聞だという。

「アメリカのニューヨークタイムズやワシントンポスト、イギリスのインディペンデントといった高級紙だけでなく、同じイギリスのデイリーメールといった夕刊紙も、ショッキングな写真を何枚もカラーページを使って連日のように伝えています。日本の場合は、朝日、読売、毎日、産経といった全国紙でも、遺体写真などインパクトの強いものはあえて避けているのでしょう。その結果、紙面からは、ウクライナの厳しい現実も戦争の悲惨さも伝わってきません」(同・デーブ氏)

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