ウクライナの遺体映像をそのまま流すべきかで議論が勃発 デーブ氏は「猛省すべきはテレビより新聞」

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日米テレビの共通点

 日米のテレビ局の事情に詳しいデーブ・スペクター氏に取材を依頼した。

「まずテレビの地上波から説明しますと、アメリカにはNBC、CBS、ABC、Foxの4大ネットワークがあります。私も各局が流すニュースをチェックしていますが、日本のNHKや民放キー局の放送内容と、それほど違うわけではありません」

 ニュース番組で遺体を映す際には、「これから遺体が映ります」とアンカーマンが口頭で注意したり、「30秒後にショッキングな映像が放送されます」と字幕が表示されたりする。

 日本の地上波では「これから津波の映像が映ります」の字幕を見る機会が多いが、基本的には同じ配慮から作成されている。

「地上波の視聴者には、ウクライナの悲惨な状況を『見たくない』という人が必ずいます。リモコンでチャンネルを変えている際、そうした視聴者が偶然に映像を見てしまい、精神的なダメージを受けることを防ごうと配慮しているわけです」(同・デーブ氏)

地上波と衛星の違い

 こうしたアメリカ4大ネットワークの報道姿勢を、日本のテレビ局もチェックしている。NHKや民放キー局の社内では、4大ネットワークの放送をリアルタイムで視聴できる環境が整えられている。

「ちなみに、ロシアのテレビ局で放送中に戦争反対を訴えたマリーナ・オフシャンニコワさんも、局内で欧米テレビ局のニュースを視聴していました。そうして正しい情報を得ていたわけです。日本のテレビ局も、アメリカの4大ネットワークがウクライナの悲惨な状況をニュース番組でどう報じているのか、参考にしています。その結果、日米のテレビ地上波は基本的に同じスタンスになるわけです」(同・デーブ氏)

 これに対して、他のメディアは差異が際立つことも少なくない。例えば、ケーブルテレビや衛星を通じて放送されるニュース専門チャンネルだ。

「代表的なのはCNNでしょう。報道に特化したケーブルチャンネルなので、一般の視聴者が偶然に見るということがありません。今は無料配信もしていますが、勝手にお茶の間に入ってくる電波とは訳が違います。たとえウクライナの悲惨な状況が放送されたとしても、視聴者は受け入れる心の準備ができています。他のニュース専門チャンネルも、ウクライナの実情をリアルに報じています。遺体の状況も、ぼかしやモザイクがほぼなしに映し出され、目を覆いたくなるような光景がテレビに流れます」(同・デーブ氏)

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