ロシア軍がドローンに大苦戦 ウクライナ軍に「カミカゼドローン」供与で更に窮地へ

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 ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナ軍がドローンを効果的に使用して戦果を挙げていることに、多くの軍事関係者が注目している。ある軍事ジャーナリストは「戦史における転換点と評価しても過言ではありません」と指摘する。

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 まず注意すべきは、「ドローン」は「無人航空機」の意味だということだ。

「日本で『ドローン』と言えば、4つのプロペラが付いた小さなヘリコプターのようなものを想像する人が多いと思います。一方、アメリカの攻撃機『MQ-9 リーパー』や偵察機『RQ-4 グローバルホーク』の場合、新聞などは『無人航空機』と書くようです。軍事の世界では、これらも全て『ドローン』なのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 つまり飛行機の形をしていても、無人機ならドローンというわけだ。

 アメリカはウクライナに、対戦車ミサイルなど最新の兵器を供与している。だが今のところ、こうした無人攻撃機=ドローンは渡されていないようだ。

「私たちが普通に使う民生用のドローンは、誰にでも操作できる簡単な設計になっています。一方、リーパーやグローバルホークのような、衛星ネットワークを使い運用する大型ドローンを操縦するのは、基本的にパイロットと同じ訓練が必要です。たとえアメリカが供与したとしても、ウクライナ軍に操縦できる軍人はいないでしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

 もっとも、偵察機の「RQ-4 グローバルホーク」はウクライナの空を飛んでいる可能性が高いという。

トルコ製のドローン

「ロシア軍の動きを偵察し、アメリカ軍が情報を集約。それをウクライナ軍に伝えているはずです」(同・軍事ジャーナリスト)

 だが、ウクライナ軍は無人攻撃機で多大な戦果を挙げ、これが大きな注目を集めている。トルコが開発した「バイラクタル TB2」だ。

「アメリカ製の無人攻撃機は非常に高額です。例えばグローバルホークは、機体と関連設備で売却価格は1機約12億ドル(約1400億円)と言われています。これに対してバイラクタルは数億円と言われています。2014年にウクライナの東部地区で紛争が勃発したことから、ウクライナ軍は19年にトルコからバイラクタルを購入しました。最初の契約は6機と周辺機器を合わせ、6900万ドル(約85億円)と報道したメディアもありました」(同・軍事ジャーナリスト)

 このバイラクタルが、ロシアの戦車などを撃破しているという。

「ロシアによる侵攻の当初、ウクライナ軍は制空権を失い、バイラクタルは役に立たないという予測もありました。ところが、ロシア軍は制空権を確保できず、バイラクタルは多大な戦果を挙げていると伝えられています。ウクライナでバイラクタルは“救世主”のような扱いで、それを讃える歌が作られたほどです」(同・軍事ジャーナリスト)

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