「子ども」「妊婦」「新生児」を虐殺するロシア軍 「まるで『地獄の黙示録』」マリウポリ住民の証言

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 驚愕の侵攻開始から1カ月。投げられたさいは、誰もが予想しなかった方向へと転がっている。内外で孤立を深める一方の超大国独裁者と、世界の人々の心を味方に付けた、徒手空拳の元コメディアン……。かくして「最狂の皇帝」の前に、地獄の門が口を開けた。

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 ベトナム戦争ではナパーム弾から逃げ惑う裸の少女。スーダン内戦ではハゲワシに狙われる少女の姿が……。

 戦争においては、一枚の写真が戦いの惨劇を知らしめ、時に勝敗を左右することがある。

 この「ウクライナ戦争」においては、これが「その一枚」となるのか。猖獗(しょうけつ)を極めるロシア軍のマリウポリ爆撃。3月9日、半壊した産科病院から担架で運び出された妊婦の写真は、世界に衝撃を与えた。

「今すぐ私を死なせて!」

 血まみれのお腹を撫でながら金切り声を上げたその女性は、30分後に息絶えた。お腹の中の赤ん坊と共に。

「有名なモスクやビーチがあり、多くの観光客を魅了するにぎやかな港町が、今では映画『地獄の黙示録』のシーンにそっくりだ」

 ウクライナの新聞「キエフインディペンデント」でライターを務める寺島朝海さんは、マリウポリ出身のジャーナリストに取材し、そんな証言を得ている。

水もなく脱水症状に

 同国南東部に位置する人口約40万人のマリウポリは、ロシア軍に包囲され、電気、水道、ガスが遮断された。そこに約35万人の市民が籠城状態を強いられている。

 彼女のレポートによれば、

〈人々は凍りそうに寒い地下室に避難を余儀なくされ、十分な食べ物も、水もなく、脱水状態に陥っている〉

 生活に必要な物資も、

〈食料品店や薬局には、在庫がもう無いか、ロシア軍に略奪されていた〉

 食料や水でさえも、

〈危険なほど不足しているため、氷点下の気温で調理し、暖を取るために木材を切り刻んでいる〉

〈最も被害が大きかった地域に住む人々は、家の中で今は動かなくなったラジエーターを叩いたり、雪を溶かして飲料水にしている。破壊された家の瓦礫の中を歩いて、何か食べられるものを見つける人もいる〉

 こうして包囲し、孤立させた街を、ロシア軍が無差別に爆撃しているのは周知の通りだ。

 前出の産科病院に続き、16日には避難場所となっていた劇場が爆撃され、数百人が未だ生き埋めになっているといわれている。さらには19日、やはり避難場所となっていた美術学校が爆撃を受けた。

「このマリウポリに外国メディアで唯一入り、状況を伝えているのは、アメリカのAP通信です」

 と述べるのは、さる全国紙の外信部デスク。

「英語で書かれたその記事によれば、爆撃によって殺された人々があまりに多過ぎて対応が間に合わず、死体は凍土に掘られた塹壕に投げ捨てられている、と。時に爆撃は毎分にも及び、作業する人も身を守るために無造作に投げ入れざるを得ないとか。葬儀を行うこともできず、当局は“死体は路上に放置しなさい”と指導しているそうです」

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