都内タワマンに家賃を払わず住み続ける原発避難民 今も続く福島県との裁判

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 東日本大震災による全国の避難者数は約3万8000人(2022年2月8日現在、復興庁調べ)という。震災から11年を経て、改めて被害の大きさを感じざるを得ない。もっとも、1年前の調査と比べ、避難者数は約3000人減少している。

 だが、都内の高層住宅地に家賃を払うことなく住み続け、福島県から訴えられている自主避難者もいる。

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 東京・江東区の湾岸エリアと言えば、タワーマンションが建ち並び、その家賃は1LDKで20万円、3LDKなら30万円は下らない人気スポットだ。

 この一角にある「東雲住宅」は、地上36階建ての国家公務員宿舎だ。震災時には災害救助法の適用を受け、福島の避難者に無償提供された。

 これまでの経緯を改めて説明しよう。

 東雲住宅の無償提供は17年3月末で打ち切られ、それ以後は国家公務員と同額の家賃を支払う条件で、2年の猶予期間が設けられた。この契約の際に、期限を越えた場合は家賃の2倍に相当する損害金を支払うことが約束された。

 もっとも、国家公務員宿舎の家賃は格安である。東雲住宅も1LDKが1万7000円、3LDKでも5万9000円と、相場に比べ相当安い。

5世帯から4世帯に

 ところが2年の猶予期間を過ぎても、東雲住宅には80世帯ほどが住み続けた。困り果てた福島県は、契約通り損害金を求めた。それでも40世帯ほどが転居しなかったという。ところが、このうち5世帯は猶予期間の2年間の家賃の支払いすら拒んだのだ。

 福島県議会は、5世帯を提訴する議案を可決。20年3月25日、県は福島地裁に提訴したが、実際に提訴したのは4世帯だった。当時、県生活拠点課はデイリー新潮の取材にこう答えている。

《「19年9月期の県議会で提訴の議案は可決されましたが、その後も住民に対し説得を続け、年末には5世帯にも会うことができました。そこで、1世帯は自主的に退去されました。自ら移転先を見つけ、東京から転出されています。損害金についても毎月滞りなく納めてくれています。残る4世帯については明け渡しに応じていただけなかったため、提訴ということになったのです」》(「福島県は提訴 東京のタワマンにタダで住み続ける原発避難民はどうなった?」21年03月11日配信)

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