実子1人殺害、3人が不審死… 凶行に及んだ母の「異様な小動物愛」
きょうだい3人での生活
上田は自宅で看病を続けたが、その甲斐なく母親は息を引き取ってしまう。待ち受けていたのはきょうだい3人での生活だった。
上田の中学校の同級生は、「テニス部に所属していた綾乃ちゃんは、あまり目立つタイプではなかった。いつも幼い弟と一緒に散歩をしている、面倒見の良いお姉さんという印象」と振り返るが、その暮らしは苦労ばかりだった。
先の近隣住民が続ける。
「下の弟さんは綾乃ちゃんより10歳近く年下で、よくうちの子と遊んでいましたけど、どこか陰がありました。家庭も経済的に裕福とは思えず、弟さんに“お昼ご飯食べたの?”と尋ねても、“ううん”と首を振ってトボトボ帰っていく。きょうだい3人で暮らしていたのは、親戚関係が悪かったからだと聞きます」
大やけどした犬を放置し通報
上田の実家と同じ横浜市内に住む、父方の従兄は、
「父親同士の仲が悪かったので、あの家とは本当に付き合いがない。綾乃たちがこっちに顔を出すのは亡くなった祖父にお年玉をもらいに来る正月くらい。祖父の相続のときも代理人を立てて進めたほどだからね」
孤立無援の状態で弟たちを育てた上田。転機が訪れたのは20歳を過ぎた頃だ。
別の近隣住民が言う。
「あの家に若い男性が出入りするようになって、そのうち表札の苗字が変わったので綾乃ちゃんと入籍したんだな、と。綾乃ちゃんは小動物が好きで、ハムスターやウサギ、犬のコーギーを飼っていました。ただ、その犬が大やけどを負って背中が酷くただれていたことがあってね。土砂降りのなか、庭に放置していたので保健所に通報されたんですよ」
その後、上田は長男を出産するが、
「綾乃ちゃんは“子どもの心臓が悪いんです”と話していて、実際、何度も救急車を呼んでいました。ある日、綾乃ちゃんの家からお経が聞こえ、線香の匂いが漂ってきたので、ご不幸があったのを知ったんです。その翌年、綾乃ちゃんのお腹が大きくなったんですが、産後すぐに、また線香の匂いがしてね……」(同)
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