海老蔵が人気演目の商標登録を乱発 特許庁が拒絶すると不服審判を…真意は?

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 活躍が歌舞伎座の舞台にとどまらないところは、さすが当代きっての“かぶき者”である。大名跡「團十郎」襲名を控える市川海老蔵(44)が、歌舞伎にかかわる商標登録を乱発。認められないと知るや、特許庁と大立ち回りを演じているとか。

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 海老蔵がホームグラウンドである“梨園の殿堂”と距離を置き、この2年半で1度しか歌舞伎座で公演していないことは、本誌(「週刊新潮」)2月3日号でも指摘した通りだ。

 一昨年の5月に予定されていた「團十郎」襲名と、長男・勸玄くん(8)の「新之助」襲名が新型コロナ感染拡大で延期。お披露目公演が白紙状態になっているとはいえ、最近は歌舞伎界以外の役者や演出家を交えての外部公演に積極的である。

 加えて、海老蔵は「株式会社成田屋」の代表取締役というビジネスマンとしての顔を持つ。登記簿謄本を見ると、会社の目的は〈催物、公演、講演等の企画、実施および斡旋〉などとあるが、その一環なのか。彼は特許庁に対して、自らの法人名義で商標登録を立て続けに出願しているという。

人気3演目は特許庁から拒絶査定

 さる梨園の関係者曰く、

「海老蔵さんは2人の子供の将来を一番に考え、その周りを囲む一門やスタッフを守りたい意識を持っているのでしょう。2013年に先代の十二代目市川團十郎が亡くなり、海老蔵が本格的に成田屋当主となって以降、商標登録の動きが急激に加速。少なくとも16年以降は59項目もの商標を立て続けに申請していますが、20年6月にまとめて出願した『勧進帳』、『助六由縁(ゆかりの)江戸桜』、『暫(しばらく)』という三つの『歌舞伎十八番』の人気演目は、特許庁から拒絶査定されてしまい不服審判の真っ只中だそうです」

「違和感をおぼえる」

 役所が海老蔵の望みを蹴った格好だが、その理由について、商標登録に詳しいファーイースト国際特許事務所の平野泰弘弁理士は、

「特許庁の拒絶理由を見る限り、出願された演目はいくら成田屋が有名にしたといえど、言葉自体は内容そのものを説明する一般名称に過ぎません。そのため独占使用は認められず登録できないということです」

 演劇評論家の上村以和於(いわお)氏はこう指摘する。

「出願された三つが團十郎のお家芸であることは事実です。ただ、これらはすでに歌舞伎界を代表する演目となっていて、團十郎家以外の役者が演じてはいけないということは全くありません。海老蔵さんの真意は測りかねますが、違和感をおぼえるし歌舞伎界全体の財産ですから、それらを制限する可能性のある行為はよろしくないと思います」

 一方で、平野弁理士は海老蔵の行動が“義憤”からのものという前提に立てば、一理あるとも庇う。

「誰もがこの言葉を自由に使えるようになれば、まがいものの公演で演目を使う悪徳業者が出てこないとも限らない。そういう伝統への“タダ乗り”が許されてよいのか、との論点もあります。しかし、他に歌舞伎を演じる団体があるなら、そこは特許庁としても、海老蔵さん率いる一企業に独占を認めるわけにいかない。最低限、業界全体をまとめないことには先に進めないのでは、というのが私見です」

 当の海老蔵のマネジメント事務所に聞くと、

「把握しておりません」

 一門を利する“錬金術”と誤解されないような口上を聞きたいものである。

週刊新潮 2022年3月3日号掲載

ワイド特集「人生劇場の舞台裏」より

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