「セルフレジ万引き」で逮捕された中学教員 それでもコンビニが「セルフレジ」を増やす理由

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 スーパーやコンビニでますます導入が進む「セルフレジ」。そうした中、北九州市のスーパーの「セルフレジ」で一部の商品を精算せずに万引きしたとして、中学校教員の男が逮捕された。万引きのリスクが高そうな「セルフレジ」だが、実際はどうなのだろうか。

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 今月19日、福岡県警門司署は北九州市立中学校の教員の男(62)を窃盗容疑で現行犯逮捕したと発表した。男性は、スーパーの「セルフレジ」で一部の商品だけを精算し、店を出たところで保安員に現行犯逮捕された。万引きしたのは、缶チューハイやウイスキーなど6点(1223円相当)の商品。警察の調べに対し、「ピッという音を聞いて、レジを通ったと思っていた」と容疑を否認しているという。

 NPO法人「全国万引犯罪防止機構」の担当者によると、

「スーパーの万引きで、現行犯逮捕されたとは驚きですね。そもそも男性が公務員だったために大きく報道されただけだと思います。一般的に、万引きで逮捕されるケースというのは、常習的な犯行や店側が万引きへの対応を強化している場合が多く、普通はなかなか逮捕まで至りません」

「セルフレジ万引き」は増えたのか

 男性は、「セルフレジ」を悪用し万引きを行った。店員の目が届きにくい「セルフレジ」は、故意に商品のスキャンを行わなければ簡単に万引きが出来てしまいそうだ。

「セルフレジの導入によって、万引きが増加しているというデータはありません。そもそも万引き被害に関して、手口別の細かい分析はされていないのが実情です。とはいえ、スーパーからは『セルフレジを使って万引きされる』といった被害の声はよく聞きます。お店側はレジの周りを巡回したり、バックヤードからカメラで監視したりするなど、対策を採っているようです」(同)

 スーパーと同じく、「セルフレジ」の導入が進むコンビニについてはどうか。

 コンビニの事情に詳しいマーケティングアナリストの渡辺広明氏によると、

「そもそも、コンビニで万引きをする人自体が少ないです。コンビニの店内には多数の防犯カメラが設置されており、死角は少ない。商品も化粧品や小物など、一部の商品を除いてはごく少額なので万引き常習犯はあえて狙わないのでしょう」

「セルフレジ」を使った万引きについてはどうか。

「コンビニでも『セルフレジ』で複数の商品を買う中で、一部だけわざとスキャンをしないといった万引きをする人がいるかもしれませんね。ただ、不審な動きをしていれば店員は声を掛けてきますし、防犯カメラに捉えられて捕まる可能性を考えると、出来心で万引きをするにはリスクがあまりに大きいです」(同)

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