免疫機能に効く「最強のお鍋」の作り方 抗酸化物質が含まれる食材は?

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農薬の毒性

 堂園博士が鍋料理や「野菜スープ」を患者に勧め、自ら食べるのも、使う野菜は無農薬で栽培したものである。拙著『本当は危ない国産食品』(新潮新書)でも紹介したが、野菜に残留する農薬が腸内細菌を変えることがわかっている。ストレスが加わるとお腹が痛くなるように、腸と脳は神経系や内分泌系などを介して繋がっていることが知られていて(脳腸相関)、農薬によって腸内細菌叢のバランスが変われば、脳にどんな影響を与えるか予測がつかない。たとえ目に見える変化がなくても、いずれさまざまな病気の引き金となって私たちの健康を蝕むことにもなりかねないのだ。

 前田名誉教授は晩年にこんなことを私に言った。

「無農薬の野菜は少し高いです。でも、世界で初めてオーガニックレストランを開店したアリス・ウォータースさんは、値段が高い分は土地の恵みに対する税金だと思えばいいと言っています。農薬による健康被害を考えるなら、決して高くはないと思いますね。野菜スープに関心のある方は、それと同じぐらい農薬がもたらす毒性についても知ってほしいです」

 健全な野菜を食べることは、自分と自分の家族の未来への投資なのだと思う。

奥野修司(おくのしゅうじ)
ノンフィクション作家。1948年生まれ。『ナツコ 沖縄密貿易の女王』で講談社ノンフィクション賞と大宅ノンフィクション賞を受賞。『ねじれた絆』『皇太子誕生』『心にナイフをしのばせて』『魂でもいいから、そばにいて 3・11後の霊体験を聞く』など著作多数。

週刊新潮 2022年2月10日号掲載

特集「冬場の『お鍋』こそ『がん』を防ぐ最強『野菜スープ』」より

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