「働かないおじさん」は当人を責めても意味がない? 背景に日本型雇用システムが…企業側の対処法は?

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自分の市場価値を知る

 そのために私が推奨しているのは、学び直しと、転職の意志があるかないかに拘(かかわ)らず、一度、転職サイトに登録してみることです。大企業や歴史のある企業に新卒で就職し安住してきた人は、就職活動以来、履歴書を書いたことがないという人も多い。そこで、改めて履歴書と職務経歴書を書き、転職サイトに登録してみるのです。すると、自分の市場価値が分かります。

 数十年間、ひとつの企業文化の中だけで磨いてきたスキルに、客観的にどれほどの価値があるのか、その現実と向き合う。結果、自分の強みと弱みが何であり、どの能力を伸ばせば企業に、そして社会に必要な人材となれるかが分かります。会社に残るにしても、そうやって自分のスキルの「棚卸し」をしてみることで、あなたの現在地が確かめられ、「働くおじさん」に変わるチャンスを掴めるのではないでしょうか。

白河桃子(しらかわとうこ)
相模女子大学大学院特任教授。1984年、慶応義塾大学文学部卒業。住友商事勤務などを経て執筆活動を開始。内閣官房の「働き方改革実現会議」有識者議員や「一億総活躍国民会議」民間議員などを歴任。『ハラスメントの境界線』『働かないおじさんが御社をダメにする』などの著書がある。

楠木 新(くすのきあらた)
神戸松蔭女子学院大学教授。1979年、京都大学法学部卒業。生命保険会社に勤務する傍ら、執筆活動を開始。『人事部は見ている。』『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』などの著書がある。2018年より、神戸松蔭女子学院大学人間科学部都市生活学科教授を務める。

週刊新潮 2022年2月10日号掲載

特集「『45歳定年制』の衝撃 あなたの隣にも… 変化を拒む『働かないおじさん』問題」より

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