「働かないおじさん」は当人を責めても意味がない? 背景に日本型雇用システムが…企業側の対処法は?

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働けないおじさんを生んだのは「日本型の雇用システム」

 そう考えると、働かないおじさん問題は当人たちだけの話ではなく、社会全体の問題でもあると考えたほうがいいのではないでしょうか。なぜなら、「働かないおじさん=働けないおじさん」は、日本型の雇用システムが生み出したものでもあるからです。この構造が変わらない限り、批判している今の20代や30代の社員がミドル・シニア社員になった時、彼らが「新たな働かないおじさん」になっている可能性があります。

 バブルが崩壊し、経済や企業業績が現状維持ないし縮小していくなかで、人材がダブついている。特に今の50代はバブル期の過剰採用の反映でもあります。

 日本の会社組織では長期雇用を前提に順送りで人事処遇が行われる。その中で若い時には同期入社同士で競いあってハツラツと働いていても、40代になると事情が変わってきます。

「こころの定年」

 社内のポストは上にいけばいくほど少ないピラミッド型であることに加えて、同じ価値観の支配する会社内で長く働くことでマンネリ気分になり、「誰の役に立っているかわからない」、「成長している実感が得られない」、「このまま時間を過ごしていっていいのだろうか」という迷いを持つ中高年は少なくありません。

 その結果、40代、50代はまだまだ若いのにロートルになった気分で立ち往生する人が生まれてしまう。私は実際の定年の前に働く意味に悩むこの状態を「こころの定年」と名付けました。

 かくいう私も、「会社でこのまま働き続けているだけでいいのか」と感じていた47歳の時に、転勤に伴う環境変化に飲み込まれて体調を崩し、会社を長期休職しました。

 その後、復職と休職を繰り返し、50歳の時に体調は戻りました。ところが、仕事は楽で自分の時間もできたのですが、今度は何をしたらいいのかわからない状態に陥りました。いかに自分が会社にぶら下がっていたかを思い知らされました。

 その後、自分の働き方を見つめ直すヒントを得るために、中高年以降に会社員から他の仕事に転身した人たちに話を聞き始めました。小さな会社を立ち上げた人、職人になった人、社会保険労務士などの資格で独立した人など……。会社員時代より収入は減っても、みなさん「いい顔」をしていて魅力的でした。

 彼らの話を聞いていた時に「会社以外の居場所」を見つける重要性に気付いたのです。

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