「東大刺傷事件」犯行少年、卒業文集に「勉強が自分を苦しめた」の言葉 母も困惑した「理III」への執着

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 受験生が人生を懸けて挑む共通テストの会場は、凄惨な「刺傷事件」の現場と化した。一途に東大入学だけを切望し続けた17歳の少年は、なぜ、その東大で凶行に及んでしまったのか。全国屈指の名門進学校に通い、「勉強」に励んだエリート高校生の闇に迫る――。

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“少年”が中学校の卒業文集に寄せた作文には、こうつづられている。

〈三年間の中学校生活で、行事や部活動、その他色々なことを経験しましたが、やはり「勉強」というものが一番長く経験したものでもあり、自分をときに苦め(ママ)たものであり、助けてくれたものでもありました〉

 新聞各紙の朝刊に、〈大学入学共通テストの問題と正解〉が掲載された1月16日――。1面を飾ったのは、皮肉にも、中学生時代からこのテストに向けて猛「勉強」に励んできた彼の“犯行”に関する記事だった。

 共通テストの初日に当たる15日の午前8時半頃、試験会場となった東大農学部の正門前で事件は起きる。

 高校2年生の少年(17)が、現場に居合わせた女子生徒(17)と男子生徒(18)、さらに72歳の男性に次々と刃物で切りつけたのだ。

「落ち着いて。落ち着こう」

 事件の発生直後、東大の警備担当職員が説得を続けるなか、凶行に及んだばかりの少年は、血塗れの包丁の刃を自分の腹部に向けるようなそぶりを見せたという。まもなく少年は包丁と黒いバッグを地面に置き、力なくその場に座り込んだ。

包丁、ノコギリ、火炎瓶

 正門の向かいで酒店を営む男性が語るには、

「門の奥にひとり、門の前にもうひとり倒れているのが見えました。そして、門の左脇に黒い詰襟姿の青年が座っていた。短髪で色黒、メガネをかけていて大人しそうな雰囲気。警察官が“どこから来た?”と大声で尋ねていたけど、無表情で問いかけにも一切応じない。最後は2人の警察官に両脇を抱えられながら交番に連れて行かれました」

 少年は殺人未遂容疑で現行犯逮捕。被害者の生徒二人は命に別状はなかったが、72歳の男性は重傷を負って緊急手術を受けている。

 拘束された少年の所持品を見れば、事件が通り魔的な犯行ではなく、背景に“大量殺人計画”があったことは疑いようがない。

 社会部記者が言う。

「加害少年は凶器となった刃渡り12センチの包丁に加え、内ポケットには小型のツールナイフ、20センチほどの折り畳み式のノコギリを所持していた。バッグからはペットボトル3本と、ジャムを入れるような瓶8本が見つかり、可燃性の液体が詰められていました」

 現場からは栄養ドリンクの瓶を輪ゴムで3本束ね、着火剤を挿し込んだものも発見され、こちらも可燃性の液体入りだった。つまり、彼は“火炎瓶”を自作していたわけである。

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