「東大刺傷事件」犯行少年、卒業文集に「勉強が自分を苦しめた」の言葉 母も困惑した「理III」への執着

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順位が100番台に

 原因は分からないが、少年が成績に悩んでいたのは事実のようだ。

 別の生徒はこう話す。

「彼の成績は、1年生の頃は全体で60位くらいだったと思います。ただ、2年生になってから100番台まで落ち込んでしまった。今月下旬に始まる実力考査の結果次第ではB群に落ちることも考えられた。普段から照れることなく“東大理IIIに入る”と話していた彼にとってはこたえたのかもしれません。最近は昼休みも弁当を食べながら勉強していましたからね……」

 東海高校からは、毎年90人近い生徒が国公立大の医学部に進んでいる。だが、東大に合格できるのは30人ほどで、理IIIとなればさらに門戸は狭まる。

 また、本人は警視庁の取り調べに、「学校の面談で、東大進学は難しいという話になって心が折れた」などと供述しているという。

 中学生時代に心が折れかけたところから這い上がった少年は、しかし、再び勉強の楽しさに目覚めることはできなかったのか。

 少年の祖父に、事件について尋ねると、

「いや、連絡とってないから……。ただ、本当に世間様には申し訳ないと思ってます。すみません……」

 とだけ言い残し、深々と頭を下げて立ち去った。

 東大進学という少年の夢は、自らが東大で起こした事件によってはるか彼方に遠のいてしまった。

週刊新潮 2022年1月27日号掲載

特集「“東大前3人刺傷” 『エリート高校生』母が洩らした『息子の異常』」より

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