「ひとえに私の指導不足」那須のトラ襲撃事件、園長が語る原因 「動物に非はない」

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“動物はペットじゃない”

 36年前にアフリカでライオンとヒョウに立て続けに襲われ、頸椎の粉砕骨折、全治6カ月の重傷を負った経験のある女優の松島トモ子もショックを受けたという。

「今回の事故も私の時と同様、ちょっとした気のゆるみ、おごりがあったのかもしれません。飼育員が育ててきたからといって野生の本能を甘くみてはいけません。私は帰国時に“それでもライオンが好き”とアホなことを言ってしまいましたが、今でもヒョウはダメで、テレビに出てくると目を背けてしまいます。被害者の方がただただ可哀そうです」

 確かに堀園長は「心」の問題を指摘するのだ。

「飼育員のボルタに対する恐怖心が欠けていたのかもしれません。ボルタは肉食獣なのに大人しく、飼育員の間でも人気が高かった。なついていると思い油断した可能性もあります。“動物はペットじゃない”とミーティングなどで言い続けても、伝わっていなかった。ひとえにこれは私の指導不足です。ただ、飼育員は何の問題もないいい子ばかり。前日の担当飼育員が辞めたいと言い出しても引き留めるつもりです。26歳の飼育員は家族を通じて“ご迷惑をかけて申し訳ない”と話しているようですし……」

 そして、ボルタに関してもこう擁護する。

「ボルタに非はないので、処分するといったことは考えていません。ボルタは安全確認した後、開園したら展示をする予定です。人の味を覚えるなんてことはないですし、人と接することを防げば危険はありませんから」(同)

 最も危険なのは、人間の「慢心」「おごり」「気のゆるみ」。虎の尾を踏んでしまうのはいつだって、それらを抱いた時なのだ。

週刊新潮 2022年1月20日号掲載

ワイド特集「人生のハザードマップ」より

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