ダチョウ肉が美味い! 日本を救う「オルタナフード」の魅力

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「オルタナフード」という言葉をご存知だろうか。これからの食料事情を考慮した際、現在流通している以外にも持続的な供給の可能性を秘めた食べ物のことだ。

 肉を例にとると、日本人が食べる肉は、牛肉、豚肉、鶏肉の3種類が主だ。現在、国内では1人当たり年間で鶏肉を約12kg、豚肉を約12kg、牛肉を約6kgの合計30kg近く食べている。これは50年前の約10倍。食の欧米化によって肉の消費量は増えているのだ。

 しかしそれらの肉の日本での自給率は、重量ベースでいうと牛肉が41%、豚肉は54%、鶏肉では66%(平成25年度)と、けして高くない。加えて、育てるための飼料(エサ)は海外の穀物に大きく依存しており、飼料の自給率も考慮した計算方法では、ほとんどの畜産物が10%程度の自給率ということになる。

 公益財団法人 日本食肉消費総合センターが発行している「食肉のすべてがわかるQ&A 教えて!日本の畜産」によると、「日本の畜産は、畜産物・飼料事情とも国際価格に左右されることが大きく、さらに円の為替相場にも影響され、不安定要素を抱えて」いる。また、「近年の地球規模の人口増加による穀物不足や異常気象による穀物不作なども指摘されており、こうした穀物価格(飼料価格)の不安定性から脱却するには、国内での耕畜連携による飼料穀物や飼料作物の増産が急務となって」いるのだという。

 つまり、肉の自給率を上げるためには飼料の穀物を国内でまかなう必要がある。しかし、ここで“穀物以外”の飼料で育つ家畜に目を向けるのもひとつの手ではないか――そうした可能性を追求するのが、「オルタナフード」の考え方だ。

 この概念のもと、さまざまな食肉の普及活動を展開している加藤オーストリッチ貴之さんは、オルタナフードとなる肉の筆頭にはダチョウ肉が挙げられると語る。

やわらかく臭みのない赤身、鉄分は牛レバー並み

「ダチョウの飼料は価格変動の激しい穀物ではなく、草です。しかも、ダチョウは少ないエサで大きく育つ、生産効率の高い家畜。日本では20年ほど前から飼育が始まり、現在は50箇所ほど牧場があります。肉はやわらかく臭みのない赤身で、脂肪分は牛肉の1/7、カロリーも牛肉の半分です。にもかかわらず、鉄分は牛レバーと同じくらい含まれています。低カロリーで栄養価の高い、非常にヘルシーなお肉。育ててよし、食べてよしの理想的な食材なんです」

 ちなみに「オーストリッチ」とは英語でダチョウのこと。加藤さんはもともと“ダチョウの伝道師”を名乗り、活動を始めたが、現在は国内各地でダチョウ牧場の立ち上げ支援や飲食店への流通支援を行うだけでなく、他の動物の肉も幅広く扱っている。ダチョウと同じように生産効率の高いワニ肉や、害獣駆除と連携した鹿肉や猪肉などのさまざまなオルタナフードを使った料理のケータリング事業は好評だ。

「珍しいという理由で興味を持たれる方も多いですが、あくまでもおいしさや品質の良さで肉の魅力を伝えていきたいので、味にこだわっています」

世界のへんな肉』などの著書があるライターの白石あづささんは、南アフリカのダチョウ牧場で食べたダチョウ肉ステーキの味が忘れられないと言う。

「見た目は大きさも色も普通の牛肉と変わりません。ナイフで切ってみると、レアに焼かれたダチョウの赤身から肉汁が溢れ出てきて、思わず期待が膨らみました。噛み締めると、さっぱりしていながら脂も適度に乗っていて食べやすく、鹿のような味がします。肉自体にしっかりとした旨味があるので、塩コショウだけでシンプルに食べても飽きが来ないお肉だと思いました」

 現在、加藤さんの支援で、都内のイタリアンやフレンチ、和食の鉄板焼きレストランなどの飲食店にダチョウ肉が導入されている。もしも外食先でダチョウ料理のメニューを見かけたら、ぜひそのおいしさを味わってみてほしい。

デイリー新潮編集部

2016年12月9日掲載

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