ヨーグルト以外の「ヤセ菌」食材とは 朝食に「発酵性食物繊維」の理由は?

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セカンドミール効果

 全粒穀物の場合は腸の中で10時間程度発酵し続ける、つまり短鎖脂肪酸を作り出す力が持続しやすいため、「昼に食物繊維が取れない人も、朝にしっかり取れば“セカンドミール効果”が期待できる」と岸村氏。

 セカンドミール効果とは、トロント大学のデビッド・ジェンキンス博士が発表した概念で、最初に取った食事(ファーストミール)が、次の食事(セカンドミール)後の血糖値にも影響を及ぼすというもの。発酵性食物繊維は胃や小腸で消化・吸収されにくく大腸まで届くので、ゆるやかに吸収される(血糖値の急上昇を防ぐ)。朝食に取り入れれば、昼や夕食にガッツリしたものを食べても、脂肪に変わりにくく、ダイエット効果が続きやすいということだ。全粒粉が入ったおやつも市販されているので、間食に選んでもいい。

 残念ながら通常の白米には食物繊維が少ないが、冷やご飯にするとその一部が消化されにくいでんぷん(レジスタントスターチ)になり、食物繊維の役割を果たす。

「ただ冷やご飯の場合は1~2割程が変わるだけなので、それよりは白米に少しでも全粒穀物を混ぜて取るといいでしょう。全粒穀物を多く摂取する人ほど体重が増加しにくかったり、糖尿病の発症予防になることが報告されています。レジスタントスターチが多いのは、長イモです。すりおろしよりも生でシャリシャリの食感を味わいながら食べたほうがいいこともわかっています。ジャガイモやカボチャにはもともと食物繊維が含まれている上、こちらもポテトサラダのように冷やして食べればレジスタントスターチが増えます」(岸村氏)

 ダブルでダイエット効果があるというわけだ。

オリゴ糖が多く含まれる食品は?

 食物繊維と同じく腸内細菌のエサになって短鎖脂肪酸を生み出す「オリゴ糖」も“吸収されにくい糖”で、レジスタントスターチと似た働きをする。

「分解されればブドウ糖になって体のエネルギーになりやすい砂糖と違い、オリゴ糖はエネルギーにならず栄養価が低いとされてきました。それが今は吸収されにくく大腸まで届く難消化性である点が長所になっています」(板倉医師)

「オリゴ糖」として市販されているので砂糖がわりに料理に使ってもいいし、オリゴ糖が多く含まれるタマネギ、バナナ、大豆を食べてもいい。バナナならオリゴ糖に加えて食物繊維もたっぷり。望月氏は「いつものメニューに、ほんの一手間かけるだけでいい」とアドバイスする。

「発酵食品の納豆にキムチをのせて、オリゴ糖を数滴たらしたり、キャベツを千切りにしてオリゴ糖が含まれるはちみつ、発酵食品の酢を合わせて“酢キャベツ”にしてみる。キャベツは水溶性食物繊維が豊富で、小麦のふすまを摂取するのと同等に有益な腸内細菌が増加したという報告もあるのです」

 水溶性食物繊維、発酵性食物繊維、そしてオリゴ糖。どれか一つだけよりも、いろいろな食材を取るほうが多様な腸内細菌が育ち、痩せ体質になるという。今の食事に腸内細菌が喜ぶ食材が入っているか。そんな視点で捉えると、楽しいダイエット食になるかもしれない。

笹井恵里子(ささいえりこ)
ジャーナリスト。1978年生まれ。「サンデー毎日」の記者を経て、フリーに。医療や衣食住の生活分野を中心に執筆活動を続ける。著書に『潜入・ゴミ屋敷』『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』など。

週刊新潮 2021年12月9日号掲載

特集「最新研究 ヨーグルトだけではない『ヤセ菌』食材で食べてヤセる美味しいダイエット」より

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