立民代表選で感じるモヤモヤ 「共産党の連携」を聞かれ明確な回答をした候補者はゼロ

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共産の「武装闘争路線」

「要するに4候補は『今後、丁寧に議論します』としか言わなかったわけです。『私はこうします』という明確な発言は一つもありませんでした。立民の支持者でも失望するレベルでしょう。こんな体たらくですから、無党派の有権者が立民の代表選に関心を持つはずもありません」(同・記者)

 一方の共産党は、全くぶれていない。読売新聞(電子版)は11月27日、「『今の選挙制度で政治を変える道は共闘しかない』…共産・志位氏、参院選でも野党共闘目指す方針」との記事を配信した。

《共産党は27日、党本部で第4回中央委員会総会(4中総)を開いた。志位委員長は幹部会報告で、先の衆院選で立憲民主党と結んだ「限定的な閣外からの協力」の合意について、「誠実に順守し、野党共闘を前進させる」と述べ、来年夏の参院選でも立民との共闘を目指す方針を強調した》

 だが参院選で「限定的な閣外からの協力合意」を「誠実に順守」すれば、立民に待っているのは衆院選の二の舞だろう。

 そもそも、どこまで共産が現実路線を歩むつもりなのかという疑問は、有権者の間に根強い。

 歴史を振り返れば、1951年に共産は武装闘争路線に舵を切り、警察官を殺害したり、過激なデモを行ったり、火焔瓶で警察署を襲撃したりした。

 だが、この路線は国民の支持を失い、52年の衆院選と53年の参院選では公認候補者が全員落選してしまう。

 55年に武装闘争方針は放棄されたことになった。だが、武装闘争を完全に撤回したかどうかは異論も多い。警察庁の公式サイトには「暴力革命の方針を堅持する日本共産党」という解説ページが公開されている。

 公式サイトなどに掲載されている「日本共産党綱領」には、日米安保の破棄、米軍と米軍基地の撤退、自衛隊の解消などが言及されている。天皇制廃止も否定はしていない。

「立民共産党」キャンペーン

 政治アナリストの伊藤惇夫氏は「総選挙の前、立民が有権者の考えを読み誤ったことが惨敗につながり、そのショックが今でも尾を引いているのです」と言う。

「総選挙の前に行われたどの世論調査でも、有権者が『政権交代』など求めていないことは明白でした。『与野党が伯仲してほしい』という希望が最も多かったのです。しかし枝野幸男代表(57)は、政権奪取を前面に押し出す選挙戦術を採用しました。一部のマスコミが『政権選択選挙』と報じたことに、乗せられてしまったのかもしれません」

 当初、有権者は“自民党にお灸を据えよう”と考えていた。だが、枝野代表は連日のように「政権選択の大決戦」などと力み返る。次第に違和感は強くなっていく。

「有権者が『政権交代なんて頼んでないよ』と困惑したのは当然でしょう。まして限定的だろうと何だろうと、共産との閣外協力に踏み込んでしまえば、立民の支援者でさえ“ドン引き”してしまいました。更に自民に『立憲共産党』とネガティブキャンペーンを行わせる材料を与えてしまったのです」(同・伊藤氏)

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