立民代表選で感じるモヤモヤ 「共産党の連携」を聞かれ明確な回答をした候補者はゼロ

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共産抜きでは勝てない立民

 伊藤氏は立民の敗北を見ながら、田中角栄(1918~1993)の言葉を思い出したという。

《山頂を極めるには、敵を減らすことだ。好意を持ってくれる広大な中間地帯を作ることだ》

「衆院選で立民が敗北したのは、『味方を作ろうとして、敵を増やした』からです。共産との連携を有権者は嫌忌し、『好意を持ってくれる広大な中間地帯』は維新と国民民主が抑えてしまいました。これでは立民が選挙に勝てるはずもありません」

 来年の夏には参院選が行われる。共産党との連携をどうするかは、まさに喫緊の課題だ。

「参院選の勝負所は1人区です。野党が勝つためには、もちろん候補者調整は必要です。調整に怒っている有権者はいないでしょう。有権者は『必要以上に共産党と連携せず、最後は党の実力で選挙を戦ってください』と立民に求めているだけです。極めて真っ当な要望でしょう。にもかかわらず、4人の候補者が有権者の声に応えられないのは、自分たちだけで参院選に勝てる実力がないと分かっているからです」(同・伊藤氏)

“お利口さん”な4人

 更に現在の立民では、旧社会党系の議員が最大勢力を誇っている。下手に左派を刺激するようなことを言えば、代表選の勝利もおぼつかない。4人の候補者は右顧左眄(うこさべん)し、八方美人的な態度に終始しているというのが実情だ。

「立民の代表選と自民の総裁選を比べてみれば、まさに雲泥の差です。立候補者の数は同じ4人ですが、自民の論戦は盛り上がりました。河野太郎さん(58)は敗れたとはいえ、原発や年金の政策では独自の主張を展開しようと努力していました。できる限り、自分が言いたいことを言おうとしていたのです。翻って立民の4候補者を見てみると、言いたいことを言っている人は誰もいません」(同・伊藤氏)

 伊藤氏は4候補者を「お利口さん」と評する。誰ひとりとして「共産党との連携は維持します」とも「共産党とは決別します」とも言わないのは、お利口さんだからだ。

「お利口な人は、自分の発言がどんな影響を与えるのか、全て計算してしまいます。だから言質を取られないよう、口が重くなるのです。4候補の言葉が有権者に届かない理由でしょう。しかし、政治家の言葉というものは、もっと豪胆で大胆なはずです。場合によっては後先のことなど考えずに発言し、有権者の心を鷲づかみにするようなパワーに満ちたものではないでしょうか」

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