山口壯環境相に公選法違反疑惑 「温泉ホテル接待」で利益供与、事務所は請求書に“小細工”

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有権者への利益供与の疑い

 また、このホテルには準天然温泉の大浴場がある。HPによると、その効能は神経痛、リウマチ、腰痛、肩こりなど。ジャグジーやサウナなども併設され、瀬戸内の眺望を望みながらリラックスできる。

 この参加者が続ける。

「風呂はみんな自由に空いた時間で入っとった。俺は夕方と朝で2回入ったわ。いい風呂やった。露天風呂がついてる部屋まであったしな。朝食はバイキングやった。参加費? 1万円や。これで1万円ならよかった。楽しかったで」

 割安感と満足感に溢れたセミナーだったようなのだ。ところが――、

「このセミナーに参加した参加費の収入が52名分で52万円、かたや支出は約103万円なので、その差額分を事務所が補填している形になっているのです」

 と後援会関係者が語る。

「そもそも、このホテルは土日に泊まるプランだと1泊2食付きで1万4千円程度かかり、さらに飲み放題をつけると2千円上積みされます。参加費1万円だと事務所側は有権者を安い価格でこのセミナーに招いたことになり、利益供与ということになるのです」

 公職選挙法では有権者に対して財産上の利益を供与することを禁じている。いわゆる「寄附の禁止」だ。温泉宿など遊興施設での有権者への接待もそれにあたる。選挙区内の有権者に寄附をしてはならないのは議員本人に加えその関係会社、後援会などで、ケースによって政党支部も含まれる。

事務所は請求書を小細工

 兵庫県の選挙管理委員会にこうしたセミナーに関して聞くと、

「一般的に費用がかかるところを安く済ませたということであれば、寄附の可能性があります」

 実はこの“罪の意識”を事務所側も認識していたのだという。

 手元にこのセミナーについての3枚の請求書がある。ホテル側から山口大臣が支部長を務める自民党の政党支部に対して送られたものだ。1枚目の請求書は正規のもの。2枚目、3枚目の明細を見ると、かかった費用である103万2100円の総額は変えず、内訳の飲食代や宿泊代などの値段を下げて、会議室料などに転嫁しているのだ。

「特に飲食代は公選法上、有権者への提供が厳しく制限されています。そこで、それらが参加費の1万円を超えないようにホテル側に用意させたというわけです。こうしたことを山口事務所の秘書が勝手に行うことはありません。山口さんは一から十まで知りたい人なので、代議士からの指示があったはずです」(先の後援会関係者)

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