不快なNHK党「へずまりゅう」の政見放送 これまで音声が削除された政見放送はたった3件

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「NHKと裁判している党弁護士法72条違反で」(以下・NHK党)の政見放送が10月28日、NHKで放送された。元迷惑系YouTuberのへずまりゅう氏(30)が登場、放送事故と勘違いされかねないパフォーマンスを行い、物議を醸している。

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 へずま氏は、神奈川県小選挙区の政見放送に登場した。NHK党からは、神奈川15区で渡辺麻里子氏(45)が立候補している。もっとも画面に映し出された机の上には「渡辺マリコ」と書かれたプレートが置かれているだけで、本人の姿はない。手話通訳士の女性がいるだけだった。

 そこへ、へずま氏が北朝鮮の金正恩そっくりのぷりん将軍とともに登場。机の上にあった「渡辺マリコ」のプレートを投げ飛ばし、自分の名前が入ったプレートを置いた。そしておもむろにコーラとメントスを取り出すと、彼の後ろに控えていた手話通訳士の女性に急接近。

「ピピピ~、山口県から来ましたへずまりゅうです!コラボレーションお願いします。メントスコーラお願いします。あなたのことを愛しています!」

と、早口でまくしたてた。さらにコーラにメントスを入れて発泡させ、女性に迫ったので、彼女はたまらず悲鳴を上げ……。放送事故と勘違いされそうな内容だが、実はこれ、NHK党が事前に撮影したVTR。こんな政見放送を見せられてはたまったものではないと不快に思った視聴者も少なからずいたはずである。念のために言っておくと、へずま氏は今回の総選挙に立候補しているわけではない。

音声削除は3例

 そもそも政見放送の対象となるのは衆院選、参院選、都道府県知事選の3つ。放送が始まったのは、1946年4月の総選挙からで、当時のNHKラジオの生放送だった。

テレビの政見放送が始まったのは、1969年の徳島県知事選から。その後現在に至るまで、候補者の音声が削除されたのはわずか3例だけである。

 最初は1983年の参院選。雑民党の東郷健氏が障害者に対する差別的な発言を繰り返し、NHKはその部分の音声を削除した。

 東郷氏は、NHKを公職選挙法違反として損害賠償請求を求める訴えを起こした。東京地裁の一審では東郷氏の主張を認めたが、東京高裁で逆転敗訴。最高裁では削除を正当として、東郷氏が敗訴した。

 2例目と3例目は、いずれも2016年と2020年の都知事選に出馬した後藤輝樹氏の政見放送である。後藤氏は、2016年の政見放送で性的な言葉を連発したため、NHKがその部分を削除した。2020年の政見放送では、なんと、裸に近い格好になり、問題発言を連発。この時も音声を削除した。

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