不快なNHK党「へずまりゅう」の政見放送 これまで音声が削除された政見放送はたった3件

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社会常識に風穴

「政見放送では、政見放送としての品位を損なう言動をしてはならないと規定しています。具体的には公職選挙法第150条の2に、『他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等』は禁じられています」

 と解説するのは、総務省選挙部管理課の担当者。

 政見放送にはNHKでのスタジオ録画と政党が自由に制作した動画の2種類がある。衆院選比例代表と知事選の政見放送はスタジオ録画に限られるという。スタジオ録画の場合は、NHKの内部規定で名札の大きさやカメラ・マイクの位置が厳密に決められている。

「さらにスタジオ録画の場合、政見放送及び経歴放送実施規程8条8項で、たすきがけやはちまき、腕章など、特別な意図を表現する服飾は禁止されています。政見放送の音声の削除は、放送局の権限で行うことになっています。総務省が個別の政見放送を規制することはありません」

 すべてはNHKの判断に委ねられているのだ。

 放送ジャーナリストの小田桐誠氏がこう言う。

「若者の間で今、最も影響力のあるのはネット動画です。ニュースもネット動画を検索して見ています。テレビ番組を、テレビの動画と言っているくらいです。ですから、若者受けを狙って政見放送で突飛なことをやれば話題になる。YouTubeにアップしてネットで拡散すれば、知名度がどんどん上がるわけです」

 先の後藤氏の政見放送の動画は、数百万回再生されたという。むろん結構な広告収入になる。

「テレビは放送禁止用語があり、当然、それを使えば音声は消されます。そこで裸になってみたり突飛な行動をしたりすることで、社会常識に風穴をあけようというのでしょう。表現の自由を前面に打ち出したわけですが、視聴者はそこまで馬鹿じゃない。ただ、今後もへずまりゅう氏や後藤輝樹氏のような輩が出てくるでしょうね。ネットで話題になれば、それを週刊誌などのメディアが取り上げて、格好のアピールになります。政見放送を利用した、YouTuberの新たな戦略ですよ」(同)

 冒頭で紹介されたNHK党の政見放送も常識的に考えたら“品位を損なう”ものだと思うけど。

デイリー新潮編集部

2021年10月31日掲載

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