首都直下型地震で警戒すべき「埋没谷」とは 注意すべき3エリアは?

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「谷」に注意し「台」を選ぶ

 関東学院大学工学総合研究所の若松加寿江研究員は、同じ埋没谷の上に位置しながら、より南に位置し、震源に近い葛飾区亀有や江東区で、揺れが大きくなかったことについて、

「地震の規模がさほど大きくなかったからだ、と考えられます。また、埋没谷のなかでも、地表に近い部分が軟弱な地域で、揺れが強かったように見えます」

 と言い、さらに続ける。

「台地側で埋没谷がある高輪や代々木などでは、あまり強く揺れず、その理由ははっきりとはわかりません。ただ、震源から離れていたこと、あの地域の埋没谷は局所的で狭いこと、なども原因かもしれません。離れているというのは、水平距離だけでなく、深さも関係しています。今回の地震は震源の深さが75キロ。そこからの距離が離れていたということ。震源地が変われば山の手方面も大きく揺れる可能性はあるので、今後も注意が必要です」

 だが、そもそも埋没谷の上が揺れやすいのであれば、地上に露出した谷の周囲も、注意が必要なのではないだろうか。それについて、若松研究員が続ける。

「たとえば神田川沿いの谷地形周辺。飯田橋、早稲田、高田馬場のあたりは、23区内で最大の谷なので大きく揺れる危険性があり、注意が必要です。それにもう一つ、麻布十番など古川の上流のあたりも揺れやすい。埋没谷はなくても谷地形で、その下に湿地の植物が腐食して堆積した腐植土層が埋まっているため、地盤が緩く、地震が起きるとゼリーのようによく揺れるのです。赤坂の溜池山王なども、かつてのため池の上ですから、腐植土層が堆積し、水はけも悪い」

 われわれはそこから、どのような教訓を読み取るべきだろうか。

「世間的に高級とされる土地でも、地盤はよくない場合が多い。東京の地価は交通至便だとか、駅前に大きな商業施設があるということに引っ張られていて、地価が高い場所が、地盤もいいというわけではありません。住む場所を決める際は、できれば谷を避け、台地の真上の、古くから台や丘がついている地名を意識するといいでしょう」

 ただし、電鉄会社などが戦後、私鉄沿線のニュータウンなどに、単にイメージアップを狙い、旧来の地名と関係なく「台」や「丘」とつけたケースも多いから、注意が必要である。

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