私たち日本人は「地球で一番危険な場所」に住み続けている―地震と噴火は必ず起こる

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国土の6割を覆う森林、豊富な海洋資源、恵まれた水と温泉――こうした自然の恩恵は、日本が類まれな「危険地帯」にあるからこそなのだ。4枚のプレートがせめぎ合い、全地球で2割の地震と8%の火山が集中する列島。マグマ学者がその仕組みを地球誕生までさかのぼって説明し、明日起きてもおかしくない大災害を警告する。

日本人は、地獄の入り口に立っている

 そんなにたびたびではないけれど、海外に出て帰国するたびに、日本食はやっぱり世界一だなと思う。食べ慣れていることを差し引いても、食材の豊富さは世界に冠たるものがある。それには理由があるのだ。例えば明石のタイは、瀬戸内海の地形による「海洋潮汐」のおかげだし、アユもまた、河川の河床勾配のおかげだと、「地震と噴火は必ず起こる―大変動列島に住むということ―」を読んで知ることとなる。また、美味い日本酒づくりには欠かせない、鉄分の少ない軟水も、花崗岩が風化した砂質の堆積物によるところが大きいともこの本には書いてある。食ではないけれど、各地にある温泉も、この国の大きな魅力のひとつ。その温泉がある理由はもちろん、火山があるからで、火山帯の集中する東北には名湯が多いのもうなずける。

 こうした日本の持つすばらしさを支えているのは、実は地面や海面の下にあるマグマやプレートの運動であり、そうした環境は、億年単位の地球史に強く関係している。

 日本列島の「すばらしさ」は、この本では導入部に過ぎない。著者が本当に伝えたいことは、いまこの瞬間でも私たちの足下では「大変動」が続いており、その変動は、地球の中でもわが日本列島の下、あるいはその周辺が最も激しいのである。

 はるか昔、地球は微惑星がぶつかり合ってどんどん大きくなることでできていった。衝突により運動エネルギーは熱に変わり、最終的には直径約12,700キロの「炎の球」となり、時間をかけて外側から冷めていったわけである。しかし、43億年経った今も、地球の中心部では創成期の熱が冷めず、そのマグマによる熱がプレートを動かし、地震を起こし、火山を噴火させている。

 本書を読むと、日本列島は、信じられないほど「危険な地域」であることが分かる。4つものプレートがせめぎあうのはこの国だけだし、110もの活火山は地球の火山の8パーセントにあたり、地球で起きる地震の2割が私たちの足下で起きている。その数は、M6以上の地震に限っても、120年間に1300回起きたのだ。

 では、われわれ日本人はどうすればいいのか? ここから先は、サイエンティストの領域からは離れるが、著者はこう書いて、政治家や日本国民に、肝の据わった「覚悟」と「準備」をうながしている。

「私たち日本人が地獄の入り口に立っていることは確信している。しかもその扉は、もう何時開いてもおかしくはない」。

新潮選書「編集者のことば」より