中国でウルトラマンの動画削除の動き 思想粛清に躍起「文化大革命さながら」

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 特撮ヒーロー「ウルトラマン」シリーズの中国語版配信動画が一時的に見られなくなった。9月24日、動画配信サービスのサイトから「ウルトラマンティガ」のコンテンツが削除されたのだ。メディアを管理する国家ラジオテレビ総局が24日、「暴力的で血なまぐさい場面のネット放送は認めない」という方針を示したことと関係があると見られる。

 なぜそこまで? 評論家の石平(せきへい)氏はこう見る。

「習近平国家主席は思想粛正に躍起で、中国の文化は改革開放以来乱れてきたとして、これを正そうと考えています。共産党が提唱する健康的、前向きで純粋なものを奨励し、暴力的、性的、堕落的とみなすものを全メディアから排除しようとしている。ネット上にも紅衛兵みたいな中国人が大勢おり、さまざまな番組を暴力的だ、堕落的だ、売国的だと攻撃しています。まさに文化大革命さながらで、萎縮した制作側、配信側がリスクのあるものを削除する動きへとつながっています」

『嘘つき中国共産党』の著者で漫画家の辣椒(ラージャオ)氏いわく、

「中国では海外の映像作品やテレビゲームの暴力場面や恐怖シーンがカットされてきました。テレビゲームでは鮮血が許されず、例えば赤い血を緑色にしなくてはいけない。骸骨や体の裂けた怪物もNGです。こうした例は多くありましたけれど、ウルトラマンまで対象になったとは驚きです」

 もっとも、削除されたのはティガだけで、他のウルトラマンタロウなどはなお配信されていたというから不可解ではある。

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