三つどもえの戦いに残った巨人、今後の優勝争いを予測する【柴田勲のセブンアイズ】

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「らしさ」という点では物足りない菅野

 巨人が19日、今季レギュラーシーズン最後となる甲子園で首位・阪神に快勝、ゲーム差を2.5とした。ヤクルトも広島に勝ち阪神に1.5差となった。

 大きな1勝だ。三つどもえの戦いにしっかりと残ることができた。

 先発の菅野智之、立ち上がりはコントロールがどうかと映った。1死三塁のピンチを招き糸原健斗に先制の適時打を浴びた。でもさすがはエースだ。後続を断ち切って流れをこれ以上渡さなかった。

 巨人は阪神のミスに付け込んだ。2回1死二、三塁で打者は大城卓三、阪神は前で守った。1点を失うのを嫌ったのだろう。でも、大城だ。もうちょっと後ろでもいいかなと思った。結果として打ち取ったと見えた打球は二塁横を抜ける逆転の2点打となった。

 その後、菅野のバントをジョー・ガンケルが中野拓夢に送球したが後逸して1死一、三塁となり吉川尚輝の3ランが飛び出した。ここが勝負の綾(あや)だった。さらに坂本勇人の2ランも出て一挙7得点だ。

 先発した菅野は「らしさ」という点では物足りなかったものの2回以降は大量点を背に自分のペースで投げていた。先頭打者を打ち取っていたのも良かった。甘い球も結構あったが阪神の打者たちの打ち損じに助けられた面もあった。

岡本はボール球を振っている

 5日の阪神戦(甲子園)では6点差を追いつかれたが、こんな試合はそうあるものではない。C.C.メルセデスと坂本を途中で引っ込めて阪神に流れを渡した。

 この日は大量得点差があっても菅野を7回まで投げさせた。いい時は動くなである。

 巨人の残り試合は27、阪神は29、そしてヤクルトは32か。巨人の9月に入ってからの成績は4勝8敗4分だ。肝心の勝負所で戦力が落ちている。

 丸佳浩は一時良くなったが現在はスランプが続いている。岡本和真もあまりよくない。ボール球を振っている。坂本の調子の良さが救いだが、振り返ると今季はこの二人がそろって調子がいいというのをあまり見たことがない。どちらかが調子よければ、どちらかが悪い。この繰り返しではないか。

 やはりカギを握るのは投手力だ。もちろんこれは阪神、ヤクルトにも言える。巨人では先発の菅野、山口俊、メルセデス、高橋優貴、戸郷翔征の五人がどこまで踏ん張って投げるかだ。6、7回くらいまで試合を作れば勝機をつかめる。7、8点も取れるような試合、そうはない。

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