硫酸男の知られざる素顔 中国人母との関係、最近は昆虫の研究に没頭

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 世間を震撼させた「硫酸男」事件は、容疑者が逮捕された後も依然、謎が残されたままだ。被害の凄惨さに見合う動機とは何だったのか。その背景にある「家族の原風景」とは――。

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「花森君の母親は中国の方で、東京の病院に勤める医師でした。小学校時代、彼がお母さんと話す時はいつも中国語。小3の時、母親の勧めでバスケットボールチームに入ったんですが、花森君がコーチに叱られると、お母さんがすぐに彼のもとに駆け寄って励ましていました」(同級生の母親)

 8月30日、東京地検に送検された花森弘卓容疑者(25)。その6日前、東京メトロの白金高輪駅で知人男性(22)の顔に硫酸をかけた傷害容疑で指名手配。逃亡から4日後に逮捕された沖縄の地は、被害男性との接点の場でもあった。

「地元の静岡県内の高校を卒業後、琉球大学農学部に進学した花森は2年生の時、映画サークルに入会。この時、1学年下だった被害者から“おい、花森”などと呼ばれたことがトラブルの発端とされます」(全国紙社会部記者)

 花森容疑者は高校時代に留年し、浪人も経験しているため、被害男性とサークルでは同期だったという。

 そして同大4年生だった昨春、静岡大学農学部に編入。整体院を営んでいた父親が高校時代に亡くなり、中国人の母も大学3年生の時に早逝したのを機に戻ってきたという。

「以来、実家の一軒家で一人暮らしを始め、微生物やカブトムシの研究に没頭していたようです。小学生の頃からカブトムシのほかクワガタなどを飼い、中学の卒業文集に“将来は生物学者になりたい”と書くほど、昆虫に凄く興味を持っていた。でも、傍から見ても溺愛しているのが分かったお母さんが亡くなってからは外で見かけることもなくなり、交流も途絶えました」(小中学校時代の同級生)

 今年4月、花森容疑者は琉球大を訪れ、サークルの名簿を閲覧。被害男性の就職先を把握し、7月下旬には都内・六本木の路上で被害男性を呼び止め、“(大学時代)バカにしてただろう”などと詰め寄った1カ月後、今回の凶行に至った。

「硫酸の知識があった容疑者が顔を狙ってかけたのは、それだけの恨みがあったということ。被害者は忘れていても、容疑者には頭から離れないトラブルが他にもあったのでは」(犯罪ジャーナリストの小川泰平氏)

 狂気は孤独から生まれたのか。動機の解明が待たれる。

週刊新潮 2021年9月9日号掲載

ワイド特集「ハコヅメの難題」より

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