事件現場清掃人は見た 48室のうち3分の1が事故物件というヤバすぎるマンションの問題点

国内 社会 2021年9月7日掲載

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 孤独死などで遺体が長時間放置された部屋は、死者の痕跡が残り悲惨な状態になる。それを原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。長年、この仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版した高江洲(たかえす)敦氏に、孤独死が多発するマンションについて聞いた。

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 マンションで孤独死した人の部屋には、ある共通点が存在するという。

「とにかく、湿気が多いことが特徴です」

 と語るのは、高江洲氏。

「一般的に日中でも薄暗い部屋、あるいは常にカーテンを閉め切っている部屋で暮らしていれば気分も沈みます。私の故郷である沖縄に伝わる『カミングヮ』という家相学では、水回りは湿気がこもらない北西にするのが良い。湿度が高い、日当たりが悪いところは、家相的にも避けるべきとされています」

カビが人を殺す

 さらに、湿気があればカビも生える。

「カビは感染症や中毒、アレルギーといった健康上の問題を引き起こします。極論なことを言えば、私は『カビが人を殺す』とさえ思っています。特殊清掃の現場は、例外なくジメジメしていてカビ臭く、壁面にはカビによって生じた黒い斑点があることが少なくありません」

 高江洲氏は湿気とカビまみれの現場には慣れているが、さすがに次のケースには仰天したという。

「不動産会社からの依頼でした。生活保護を受けている60代の男性がユニットバスのドアノブに紐をかけて首吊り自殺したのです。死後2カ月経って発見されたといいます」

 高江洲氏は見積もりのため、現場に向かった。

「横浜市の繁華街にあるワンルームマンションで、バスやトイレ、キッチンも含めて20平米ほどの狭い部屋でした。ユニットバスは体液で汚れ、リフォームする必要がありました」

 不動産業者によると、元々このマンションは、投資用の物件だったという。

「部屋のオーナーが学生やビジネスマンに部屋を貸していたのです。ところがマンションが老朽化してくると、一部屋数千万円だった価格が100万円ほどに下落。家賃も10数万円から4万円に下がりました。そのため、入居者は低所得の高齢者ばかりになってしまったのです」

 高江洲氏が件の部屋で作業をしていると、マンションの隣の部屋の住人から話しかけられたという。

「隣人は、私が何の作業をしているのか知っていました。『臭いが酷いや』と怒った口調で話しかけられ、丁寧に応対しました。部屋の中がどうなっているか興味があるようでした。話を聞くと、このマンションには事故物件が非常に多いというんです」

 そこで高江洲氏は、同じフロアの部屋をすべて見て回った。

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