「マッチングアプリ」「婚活」で人気の男女の特徴は 業界のプロたちが指南

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写真は盛らないように

――アプリや相談所のプロフィールには、どんな写真を載せればいいですか。

岸本 アプリの多くは写真を複数掲載できるので、バリエーションを意識しては。メインはカジュアルなスナップをお勧めしています。パートナーズの雰囲気に合うので。2枚目はジャケットを着て。それぞれバストアップと全身があればいいのでは。

 写真でも恋愛経験の少ない男性はわかりますよ。カジュアルすぎるから。背景に洗濯物がぶら下がっている部屋での自撮りを見たときはびっくりしました。

――茜会は、フォーマルな写真が好まれそうですね。

川上 茜会はスタジオで撮影した写真が基本です。それでも、10年前のお花見のときのスナップなんかを持参するかたはいます。きれいに撮れていてお気に入りなのはわかるけれど、古くて今の印象と違い過ぎる写真は婚活の場にはそぐわず、受け付けられません。写真は茜会でも撮れますが、できれば写真館で撮影したほうがいいですね。

 本人にはっきりと言うんですか?

川上 もちろんお伝えします。ご本人が結婚相手と出会うためには大切なことですから。

――アプリや相談所で出会ったなかには写真と実物がまったく違って、待ち合わせ場所でわからない女性もいました。男性にも写真と違う人はいるようです。

川上 今は写真の加工修整技術が発達していますからね。ご本人にも写真館にも、できるだけ盛らないようにとお願いしています(笑)。

――パーティーではどんな人がモテますか。

小林 パーティーに限らないとは思いますが、女性はナチュラルな雰囲気があり、笑顔で会話ができて、気取りのない人でしょう。男性はさわやかで紳士的で清潔感がある人です。

――女性が言う“清潔感”が男にはなかなか難しくて。

小林 背筋を伸ばせば、好印象だと思いますよ。服装に迷ったら、ジャケットを着て背筋を伸ばせば、それだけでイメージはいいです。

――オンラインパーティーでは、いかがでしょう。

小林 自宅にいても婚活パーティーなので、ジャケットをお勧めしています。

 えー! オンラインで男性がジャケットを着ていたら、笑っちゃうかも。これからお出かけですか? と言っちゃいそう。でも、スウェット姿も嫌かな……。

小林 夏ならシャツだけでいいかもしれません。服装で価値観がわかりますよね。きちんとした同士、ラフな同士は気が合いそうです。

――以前ある相談所に登録したら、最初の2カ月は連日お見合いを申し込んでもらえました。もう有頂天ですよ。でも、3カ月目にぴたっと止まりました。

川上 新入会の女性に男性から申し込みが殺到するケースもよく見かけます。女性は冷静に選べなくなり、年収の高い男性からお見合いしてしまう。するとピュアな気持ちが失われて、ほんとうに自分に合う男性を見つけづらくなるんです。そうならないようにアドバイスしています。

 新入会の女性は人気があるんですか?

川上 とくに男性は新しい会員を好む傾向を感じます。

 へえー。

――ほかにはどんな男女が好まれますか?

川上 先日、典型的な成婚できる男性がいました。女性を一所懸命楽しませて、相談所規定の交際期間内も二人の時間を最優先していました。仕事の時間とプライベートをきっちりと分けて。自分の欲求は抑制していたのでしょうね。

――相談所に入会しなくても結婚できそうですね。

川上 そのかたは60代なので、日常生活では出会いの機会が少ないとおっしゃっていました。

 もともと女性を優先するタイプだったのでしょうか? それとも、どこかで心を入れ替えたのかな?

川上 もともとだと思いますよ。婚歴があり、奥さまとは死別されています。しばらく一人でいたものの寂しくて入会されました。

こんな人が向いている

 女性で成婚しやすいタイプはありますか。

川上 自分の好みに執着し過ぎないかたでしょうね。茜会の男性会員は平均59歳です。離婚歴がある、子どもがいる、仕事をリタイアしているなど、若いときとは違う事情があります。そういう条件をすべてNGにすると、なかなか相手が見つかりません。

――無茶なリクエストもありますか。

川上 ときどきいらっしゃいます。先日も「東大卒かドクターしかお見合いしたくない」という、60代後半の女性がいました。10歳以上年上でもかまわないとおっしゃるのですが、80歳前後で独身で婚活中で現役バリバリのドクターはなかなか存在しませんよね……。

――男性が年下を求めるのはスタンダードですか。

川上 もちろん個人差はありますが、相談所で仕事をしていると、男性が年下を求めるのは好みというよりも本能だと感じています。

 私は相手が年上でも年下でもいいけれど、「年下じゃなければいやだ」と言う男性は苦手かな。たぶん男尊女卑で「男は上、女は下」と思っている。5分くらい会話するとわかります。上からの目線で話してきますから。若いコ好きと、年下好きは、本質的に違うと感じています。

――アプリ、相談所、パーティー、それぞれどんな人に向いているのでしょうか。

岸本 時間やお金に余裕があるならば、全部やればいいのでは。その上でアプリをお勧めするとしたら、まだ気持ちに余裕があるというか、1、2年のうちに結婚できればいいと思っている人でしょう。パートナーズの場合、男性には無料会員と有料会員とがあります。申し込み数などが限られている無料会員に登録して、積極的な気持ちになったら自由に活動できる有料会員に移行すればいい。女性の場合は、現状無料なので、お試しのつもりで始めても負担はありません。

――いつでも相手を探せるように登録しておいて、心のスイッチが入ったら、婚活に集中する。

岸本 あるいはプロフィールを閲覧して、話したい人がいたら、有料会員になる。仕事が忙しくなったら、また無料会員に切り替える。

川上 相談所向きは、社交性がないというか、人が多い場が苦手だと自覚しているかた、人見知りのかたです。担当カウンセラーがサポートします。実際に、初対面の人と話す機会の少ない経理や技術職のかたが多いですね。

――コストがかかる分、サービスも手厚い。

川上 希望があれば初回はカウンセラーがお見合いに同席することもあります。先ほど申し上げたように提出書類が多く、コストもかかる分、リスクは軽減されています。相談所にはナンパ目的や営業目的の会員はいません。真剣度も高い。

小林 逆にパーティーは、対面に慣れていると有利です。男性でも女性でも営業職はパーティーに向いていると思います。そしてアプリと同じように、心に余裕のある状況で参加したほうがいいかもしれません。繁忙期を終え「パートナーがほしいなあ」と思ったときに、ぜひ参加してください。また、最初から実物を自分の目で見て、会話したいかたには向いているでしょう。

なぜ婚活をするのか

岸本 婚活は元気なときに頑張ったほうが成果は上がりそうですよね。落ち込んでいるときは、どうしてもネガティブな空気をまとってしまい、相手にいい印象を与えられません。

小林 確かにその通りです。パーティーは生身の自分で参加するので、表情や声のトーンに心のコンディションが表れます。

――皆さんの話を聞いて、南さんはどれが自分に向いていると感じましたか。

 どうかな……。少し時間をおいて、今度は相談所に登録してみようかな……。

――少し時間をおいて?

 40歳前後の女性って、男性の目にはあせっていると見えるらしいんです。出産にはリミットがあるので。私自身はそれほど出産を意識していないけれど、男性にはわかってもらえません。子どもをすぐにつくる前提で話を進められると、恋愛モードでの会話が成立しづらい。アプリとパーティーは体験したので、もう少し年齢を重ね、相談所を頼ってみるのもいいかなあ、と。

――僕はどんなツールでも、結婚相手に向いていなそうなエロスを感じる女性に近寄ってしまいます。

岸本 それ、婚活と目的が違いますよね。

――わかっているのに欲求に逆らえなくて……。パーティーだと、ノースリーブやニットの女性に魅かれてしまいます。

小林 わかりやすい(笑)。

岸本 なぜ自分が婚活をしているのか、どういう人生を送りたいのか、一度落ち着いて考えてみては。

 でも、遊び人風の男性はナンパ目的だけど、女性は容姿が派手でも、結婚が目的だと思いますよ。良妻賢母型は激しい争奪戦があるけれど、派手な女性ならライバルが少ないのでは。

――そうか!

 石神さんの本を読むと、初対面でベッドの相性を試そうとする女性が登場しますよね。あれはアプリで知り合った?

――S男を求めているMの女性にラブホテルに連れて行かれましたが、彼女とはアプリです。オールナイトでのセックスを誘ってきた華道の先生はパーティー。相談所で出会った女性には、食事した店から出たとたん抱き着かれてブチューとキスされた。帰国子女でした。

 そういう人を呼んじゃうのかな。私のまわりにも奔放な女性はいます。でも、そこまでアグレッシブな女性はいないなあ。

――僕の生活圏にもいませんよ。でも婚活では、いわゆる肉食系に出会います。

岸本 やっぱり、婚活じゃなく“恋活”になっているんじゃないですか。自分が何を求めているのか……。きちんと整理しましょう。

――そうですね……。ありがとうございます。まだまだ頑張ってみます。

石神賢介(いしがみけんすけ)
ライター。1962年東京都出身。離婚後、婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティーなどの体験記『婚活したらすごかった』を出版。近著は婚活ドキュメント『57歳で婚活したらすごかった』(新潮新書)。

南 綾子(みなみあやこ)
1981年愛知県出身。作家。2005年に女による女のためのR-18文学賞受賞後、『ほしいあいたいすきいれて』で小説家としてデビュー。近著は実録婚婚活小説『結婚のためなら死んでもいい』(新潮文庫)。

岸本俊哉(きしもととしや)
婚活アプリ「パートナーズ」アドバイザー。パートナーズは11年を迎えた中高年向け婚活サイト(婚活アプリ)で、会員は約3万1千人。男女比は5対5でバランスを維持。

川上健太郎(かわかみけんたろう)
結婚相談所「茜会」統括部長。茜会は創業60年以上の中高年向け結婚相談所。会員の平均年齢は男性59.3歳、女性56.7歳。男女比は47.6対52.4。

小林美穂(こばやしみほ)
婚活パーティー会社「エクシオジャパン」アドバイザー。エクシオは創業25年。北海道から沖縄まで全国で婚活パーティーを開催。男女計10~20人のレギュラーパーティー、個室やオンラインのパーティーも開催。

週刊新潮 2021年8月26日号掲載

特集「『実践の女性作家』『マッチングアプリ会社』『相談所』『パーティー運営業者』が集結 『婚活』座談会 業者だけが知っている中高年でも『成婚』の秘訣」より

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