「諭吉は見ている?!」ふかわりょうが考える、「お会計」の美学

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お金に振り回されない男でありたい

 タクシーを止めて、後輩や女性に「これで足りるかな」と手渡す1万円札に、大人になった感触がありました。なんて紳士なんだ。しかし、その後に分岐点があります。後日、「あ、この前のタクシー代のお釣り」と言ってくるかどうか。ここ重要です。お釣りが欲しいのではありません。しっかりお釣りを返そうとする気持ちに惹かれたい。それがたとえあざとい計算によるものだとしても、全然印象が違います。こちらも「お釣りなんていいって! 逆に、足りた?」と言うことで、さらに気持ちよくなれます。

 匿名で寄付される方がいますが、本当にすごいと思います。私なら、寄付する代わりに、感謝されたいし、「いい人~」と褒められたい。そのために、自らネット上に噂を流すでしょう。結局、なんらかの見返りを求めてしまう。浪費家と倹約家、どちらがいいのかわかりませんが、好きなものには惜しみなく使えるけれど、それ以外にはあまり使いたくなくて、私は両面ある気がします。無頓着すぎても困るけれど、細かすぎるのも厄介。お金に振り回されず、ここぞという時にドカンと使う男でありたい。かつて若手芸人が数十人いるところに先輩芸人さんが居合わせ、帰りに会計しようとしたら、全額支払い済みだったという話を聞いたことがあります。そんな粋な振る舞いをしてみたいもの。諭吉は、見ているのです。

2021年8月14日掲載

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